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桂小文枝 高齢、糖尿病でコロナ感染も軽症「運としか考えられへん」、後遺症も無し

新型コロナウイルスに感染した経験を語る桂小文枝(撮影・石湯恒介)
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 落語家の桂小文枝(70)は昨年11月、新型コロナウイルスに感染した。きん枝を名乗って約50年がたち、師匠の五代桂文枝の前名・小文枝を19年に襲名したばかりだった。襲名披露興行はコロナの直撃を受け、千秋楽公演は2度延期。今年3月にようやく迎えることができた。感染当時のことを聞くと小文枝は「僕は糖尿病で高齢。なんで重症化しなかったのか不思議で」と軽症で済み、しかも特段の後遺症もないことを感謝した。

 -昨年11月に新型コロナウイルスに感染されました。

 11月の頭のあたりで第2波の終わりかけでした。ひょっとしたらこのまま終息するんかなというような世の中の雰囲気やったんです。

 -緊急事態宣言下でもなかったですし、コロナが終息するのではと。

 外に出るのもずっとお断りしていたんですけど僕の知り合いの誕生日で、「久しぶりに会おう」となって会いました。その方が感染してたんです。僕は保健所から濃厚接触者と判定され、「PCR検査を受けて下さい」と。陽性が判明し、「すぐに入院を」となりました。昼の2時、3時にわかってその日の夕方5時くらいには入院してました。コロナ患者は僕も入れて2人くらいやったと思います。

 -入院してと言われた時点で熱などは。

 ちょっとありました。うちの奥さんが看護師やから、「誰かが感染して、あんたも一緒におったんならあんたも感染してる確率は80%」と言われて家の中で隔離されました。「この部屋から出たらあかん」と。

 -著書「桂きん枝の落語な子育て」には奥様は軽い発熱なら「そんなんは体調の変化」と取り合わないことが書かれています。

 そうそう。キツいですから、うちの奥さんは。というのはICRで務めてましたから。ちゃうわ、PCR。ちゃうわ。病気の一番キツいときに…。

 -ICU。

 それそれ。そこで務めてましたから。患者は皆、生きるか死ぬかという状況ですからね。せやから「ちょっと熱あんねん」「なかったら死んでるやん」て。「計ってみ」「36度8分」「そんなもん病気のうちに入らへん。それは体調の変化と言うんです」「あ、そう」。それくらいキツいんです。

 -夫婦漫才みたいです。入院後の症状は。

 熱は38度くらい出たこともあったかな。とにかく暇でね。看護師さんが病室に入ってくる時はご飯を持ってきてくれるときだけでした。

 -看護師は完全防護の服で。

 もちろん。映画に出てくるような全身を覆った真っ白の服でした。検温も自分でせなあきませんねん。お医者さんもきいひんし。看護師さんと1日に3べん会うだけで、ほか何にもしてないですよ。治療もしないし。

 -点滴もない。

 ないない。

 -それくらい軽症だった。

 そういうことですね。重症化すれば例えばECMOを付けるとか、酸素吸入器をつけるとかあるでしょうけど。ぼくは「先生、熱がでます」「じゃあ解熱剤だします」「咳でますねん」「咳止めだします」という状態でした。4日目くらいに「アビガン飲みます?」て医者に聞かれたんです。医者に聞かれてもね…。「アビガン出しますので」って言われたら「はい」って言いますけど「アビガン出しますけど飲みます?」って聞かれたらちょっと不安になりますやん。「飲んでも大丈夫でっか?」「はい、効くとはされてます」「いただけるものならいただきます」。そんなんでした。

 -特別な治療が必要な容体ではなかった。

 酸素濃度と心電図を計る器具は24時間付けてました。3日目か4日目に節々が痛くなってきましてね。関節が。「これ、やっぱり病気かな」て思たけど体調はなんともないし。動いてへんからや、動かさなあかんと思って3食のあと2リットルのペットボトル2本持って病室を毎日20分歩いてましたんやで。

 -元気ですね。

 そうやねん。ずーっと歩いてましたんや。退院まで。それくらい元気やったんです。ぼくは70歳の糖尿病もちですから高齢で持病があるわけです。なんで重症化せえへんかったんか不思議でしゃーないんです。

 -ご自身としては重症化しなかったのはなぜだと。普段から健康に気をつけていた。

 そんなんないです。

 -タバコは。

 吸いません。なんやろな、自分でもわからん。

 -強運。

 運やろな。それしか考えられへん。べつに毎日散歩してるわけでもないし。酒は年齢とともに控えてますけど元々そんなに好きでもないんです。

 -入院期間は。

 2週間くらいですかね。病院は感染症対策を徹底してると思いました。看護師さんが掃除に来はったときに、「買い物があれば言って下さい」と。ありがたいことです。すみませんが2リットルのお茶を2本買ってきてくださいと千円札を出したら「この中に入れてください」ってビニール袋を出すんです。千円札入れたらぎゅっと密封して。札を消毒するそうです。病室から一切何も外に出してはいけないそうです。

 -小文枝を19年に襲名したばかり。軽症で良かった。

 そやねん。糖尿持ちの70歳でなんで軽症なのか。後遺症も特にないしね。運しかないな。特に信心深いわけでもないのに。せやけど入院初日には「ほんまにコロナに感染したんや」とびっくりすることがあったんです。

 -というと。

 病院食を食べますやろ。ほんなら何の味もにおいもせんかったんです。これが無味無臭かと。やっぱりコロナ感染したんやと思たんです。ところが翌朝、牛乳飲んだら牛乳の味がしまんねん。おれ、一晩でなおしたんや!と思ってね。看護師さんにそない言うたら「きのうの夜食は糖尿病の方のための食事ですから味がないんです」やて。さよか(笑)。

〈WHO’S WHO〉

 桂小文枝(かつら・こぶんし) 1951年大阪市生まれ。本名・立入勉三。府立成城工業高校卒。エレベーター会社に3カ月勤務し退職。69年に三代桂小文枝(のち五代文枝)に入門。きん枝を名乗る。昭和の人気番組MBS「ヤングおー!おー!」で四代目林家小染、月亭八方、桂文珍とのユニット「ザ・パンダ」で一躍人気者に。2001年、大阪市立大学経済学部の社会人入試を受け合格。10年参院選に出馬も落選。19年、小文枝を襲名。阪神ファン。

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