血圧の「上」と「下」は何が違う 医師に聞いたそれぞれの意味と健康リスク 数値に一喜一憂するより大切なこと

 春の健康診断シーズンだ。健診で必ず測る項目のひとつが「血圧」。シニア世代になると、年々高くなる数値が気になるという人も多いだろう。血圧は高い方と低い方の2つの数値を計測するが、そもそもこの2つの数値は何を表しているのだろうか。どちらも正常値であることが望ましいのは当然として、どちらがより危険性と関係が深いのか。神戸市立医療センター・西市民病院循環器内科の平沼永敏部長代行(43)に聞いた。

 血圧とは、心臓が血液を全身に送り出すときに血管にかかる圧力のこと。血圧があることで、血液とともに酸素や栄養が体の隅々まで運ばれる。心臓がキュッと収縮して血液を押し出すときの圧力が、いわゆる「上の血圧」。心臓が拡張して次の拍動までの間に血液をためているときの圧力が「下の血圧」だ。

 「上の血圧」と呼ばれる収縮期の血圧は、高くなるほど血液を強い力で送り出すことになり、血管への負荷を増大させる。「140mmHg」以上が高血圧とされ、脳卒中(特に脳出血)、心筋梗塞・心不全、大動脈瘤・大動脈解離、腎臓病などの重病リスクが高まる。

 高齢者に多い「収縮期高血圧(上だけ高い状態)」は、平沼氏によると「特に脳梗塞など脳・心血管リスクが高くなる」という。逆に「90mmHg」未満は低血圧とされ、めまい・立ちくらみ、失神・転倒、脳や心臓への血流不足につながる可能性がある。

 「下の血圧」と呼ばれる拡張期血圧は、血管が常に受けている基礎的な圧力で、血管のしなやかさを反映する指標でもある。こちらは「90mmHg」以上が高血圧とされ、動脈硬化の進行や心筋梗塞、脳梗塞のリスクがある。若年~中年では特に重要な危険因子とされ、平沼氏は「下の血圧が高い場合は、まず塩分の摂り過ぎや生活習慣の見直しを」と注意を呼びかける。一方で、「60mmHg」未満と低くなると、疲れやすさや集中力低下にもつながるおそれがあるという。

 血圧管理の目安としては、「125/75mmHg未満」が理想とされることが多い。ただし、年齢や基礎疾患、服用薬によって個別に適切な目標値は異なる。平沼氏は「治療法や服用している薬によって、ベースとなる血圧がもう少し高めという方もいます。自分に適した値を主治医の先生と確認して治療を進めてください」と話す。高血圧対策には減塩やカリウムの積極的摂取、適度な運動、節酒、禁煙など生活習慣の改善が基本となる。

 血圧は「上」も「下」も、それぞれに役割があり、どちらか一方だけを見て安心・不安を判断できるものではない。大切なのは、数値に一喜一憂するのではなく、日々の測定で自分の血圧の傾向を知り、体調の変化に気づくことだ。気になる数値が続くときは、生活習慣を見直し、早めに医師に相談することが将来の大きな病気を防ぐ第一歩になる。無理のないペースで血圧と上手に付き合い、長く健康を維持していきたい。

(よろず~ニュース・田中 靖)

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