自転車に「スピード違反」は? 標識がない道なら60キロ出してもOK? 意外と知らないルール【弁護士が解説】

30代の会社員Aさんは、健康と節約のために自転車通勤を始めた。最近のスポーツタイプの自転車は性能が良く、車道を颯爽と走っていると、体感でも「結構なスピードが出ているな」と感じる。

そんなある日、Aさんは自動車に追い抜かれながらふと「もし自転車でスピードを出しすぎたら、車やバイクのようにスピード違反で取り締まられるのだろうか?」と疑問を抱く。原付バイクには時速30キロの厳しい法定速度があるが、それより速く走れるロードバイクなどの扱いはどうなっているのだろうか。まこと法律事務所の北村真一さんに話を聞いた。

ー自転車に「法定速度」は存在しますか? 標識がない道では何キロまで出して良いのでしょうか。

道路交通法上、自転車(軽車両)には自動車のような「法定速度(標識がない場合に一律で適用される時速60キロなどの制限)」の規定がありません。

理屈の上では、標識のない平坦な道であれば、自転車が時速60キロで走っても「法定速度違反」には問われないことになります。だからといって無制限に出して良いわけではなく、常に「安全な速度」で運転する義務(安全運転義務)を負っていることを忘れてはいけません。

ーでは、「時速30キロ制限」の標識がある道路では速度調整は必要なのでしょうか?

道路に設置されている速度制限の標識は、自動車だけでなく、自転車を含むすべての「車両」に対して適用されます。もし時速30キロ制限の標識がある場所で、自転車がそれを超えて走っていれば、スピード違反として取り締まりの対象になり得ます。

ー歩道での走行時も速度の規定はないのでしょうか?

大前提として、道路交通法上、自転車は「軽車両」であり、「車道の左側を通行すること」が原則です。

歩道を通行できるのは、「自転車通行可」の標識がある場合や、13歳未満の子供、70歳以上の高齢者など、例外的なケースに限られます。その上で、歩道を走る際は具体的な数値ではなく「徐行(すぐに止まれる速度)」が義務付けられています。

ー歩道で「徐行」する際、注意すべきルールはありますか?

警察庁の指針では、「歩道の中央ではなく、常に車道に近い側を通行する」「歩行者の通行を妨げるようなときは、一時停止する」という2つのルールを徹底するよう定めています。

「徐行」は一般的に時速4~5キロ程度(大人の足で歩く速さ)と解釈されます。これを超える速度で、歩行者の間を縫うように走る行為は、明確なルール違反です。

ーもしスピードを出しすぎて事故を起こしてしまった場合、どうなりますか?

スピードの出しすぎによって歩行者に怪我をさせれば、刑事罰(重過失致死傷罪など)の対象となります。

また、民事裁判でも「歩道で徐行していなかった」「車道寄りを走っていなかった」という事実は、加害者側に圧倒的に不利な証拠となります。過去には、自転車事故で9000万円を超える高額な賠償命令が出た事例も実際にあります。

●北村真一(きたむら・しんいち) 弁護士

大阪府茨木市出身の人気ゆるふわ弁護士。「きたべん」の愛称で親しまれており、恋愛問題からM&Aまで幅広く相談対応が可能。

(よろず~ニュース特約ライター・夢書房)

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