夏の“キッチン暑すぎる問題”に「火を使わない食事」が人気 猛暑で広がる「NOコンロタイパ飯」

 暦の上では立秋を過ぎたものの、まだまだ暑い日が続く。火を使うキッチンに立つ時間を少しでも短くしたい-。そんな夏の食卓で、「火を使わない」「調理時間を短縮できる」食品が人気を集めている。レトルトや冷凍食品、電子レンジ調理などを活用した、いわば“NOコンロタイパ飯”だ。

 総合ショッピングサイト「au PAY マーケット」の企画・運営を手がけるauコマース&ライフ株式会社のEC(電子商取引)コンサルタント・駒井惠輔氏によると、レトルト食品と冷凍食品はいずれも2025年の流通額が2024年を上回ったという。今夏についても「昨今の酷暑の影響もあり、キッチンでの熱中症予防の観点から、『火を使わない』『調理時間を短縮できる』食品への需要は、さらに増加傾向を強めていくと考えられます」と見通しを語る。

 夏の食品需要にも変化が起きている。これまでは、そうめんや冷やし中華など「涼味」が中心だったが、最近は「涼しさ」だけでなく、猛暑による体力低下を防ぐための食事をなるべく手間なく取りたいというニーズが強まっている。

 駒井氏は「近年は『手軽にしっかり栄養が摂れる食品』や『火を使わずに即完成する商品』需要が高まり、火を使わない『レンジ調理』や『レトルト』『フリーズドライ』といったカテゴリーが伸びています。また、今年は『スタミナ系』のタイパグルメの需要も例年以上に加速すると見ています」と説明する。

 さらに、主食とおかずがセットになった冷凍弁当など、調理不要で一食が完結するワンプレート商品も人気だという。常温で保存できるレトルトや、冷凍庫にストックしておける食品をまとめて購入する動きも広がっている。

 人気商品のポイントについて、駒井氏は「『火を使わない』『洗い物が少なく済むどんぶり一つで完結する』という物理的なメリットに加えて、『アレンジのしやすさ』も共通しています」と話す。ご飯にかけるだけでなく、そうめんや冷たいうどんのつけ汁にしたり、夏野菜や薬味をトッピングしたりと、家庭で手軽に変化をつけられる食品が支持を集めているそうだ。

 実際、冷蔵庫で冷やして食べる「冷製おでん」や、冷やしたソースをパスタに和えるだけの商品、電子レンジで温めれば一食が完成する冷凍ワンプレートなど、暑いキッチンを避けながら満足感も得られる商品が登場している。

 こうした「タイパ食品」は、忙しい子育て世代だけのものでもない。シニア層にも需要が広がり、駒井氏は「世代ごとに目的は異なりますが、タイパ食品は今や“全世代の生活インフラ”として定着しつつあります」と指摘する。

 そして、この流れは夏限定では終わらない可能性が高い。

 「夏の猛暑がきっかけで取り入れる方が多いですが、今後も通年のトレンドとして定着・拡大していくと考えられます。現在のレトルトや冷凍食品は品質も向上しており、『手抜き』ではなく『賢く簡単な時短料理』として生活に不可欠なものになりつつあります」という。

 さらに、「単に『手軽』なだけでなく、『個々のライフスタイルや健康状態に最適化された進化』が進むのではないでしょうか。例えば、健康や栄養バランスに特化した商品や、お店の味が自宅で楽しめる高付加価値な食品のニーズが増していくと考えています。また、高齢化が進む中、火を使わない安全性や包丁を使わないケガ防止はご本人やご家族にとって切実なテーマです。重い食材を運ぶ買い物の負担軽減や1人、2人分の食材ロスを防げる点でも食品ECの役割は大きく、その需要はEC市場の大きな成長分野になっていくと予想しています」と話す。

 残暑はこれからが本番。「暑いから料理をしない」のではなく、「暑いからこそ、賢く料理する」。そんな新しい食卓のスタイルとして、キッチンで火を使わない「NOコンロタイパ飯」が、新たなブームに火をつけている。

(よろず~ニュース・田中 靖)

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