ケイバ熱盛ブログ「ウルっときたエルムS」(8月13日)

 栗東・井上です。『すごいことを発見した』(7月30日掲載)。そのタイトルに釣られた(言い方が悪い?)関係者もいたようです。「ブログ読んだぞ。意識して見ると、ホンマに近かったわ」(某調教師)。「新潟競馬場でスタンドから向正面を見ましたよ。一番の小回りは新潟のダートなんですね。参考になりました」(某騎手)といった声もあって、うれしい限り。目で見て確認することや、調べることの重要さを改めて感じました。これからも“気づき”の感性を磨いていきたいと思います。

 先週の日曜はうれしいことがありました。エルムSでスワーヴアラミスが勝利。鞍上の松田大作Jにとっては6年ぶりの重賞制覇です。ゴールの瞬間は思わず、ウルッときました。

 97年に競馬学校第13期生としてデビュー。96年にトレセン取材デビューしたワタクシにとっては、同時期にスタートしたという親近感があったといいますか…。出張先で食事を共にしたり、トレセンでは悩みを聞いたり。長い付き合いですから、今回の重賞Vは胸が熱くなりました。

 キャリアを振り返れば、決して順調な道のりではなかった。特に、この1年はもがき苦しみました。昨年の9月2日。札幌競馬場で調教中に落馬し、胸鎖関節脱臼の負傷を負い、長期の戦線離脱となりました。復帰したのが今年の3月13日です。新人騎手のデビュー時期と重なったこともあって、「自分の体を見つめ直すいい機会になりました。新人と同じ気持ちでゼロからやり直すぐらいの気持ち」と決意を語ったのが印象的でした。

 3月27日の名鉄杯で復帰後初勝利。ただ、次の2勝目までに約3カ月も要しました。それでも、ドン底を味わった男は、ワタクシが思っていた以上に向上心の塊だったようです。

 週明けに札幌滞在中の大ちゃんに電話をしました。「乗せてくれる人がいることが本当にありがたい。先生が“大作でいきます”って言ってくださって、オーナーもそれを了承してくれて」と感謝する。

 この1年、心が折れることはなかったのだろうか。「そりゃ、考えましたよ」。考えたというのは“引退”の2文字。「自分は体重も軽くないし、長く休むと減量がきつい。律することができずに10キロほど増えました」とリハビリ生活を振り返る。

 それでも、前を向けたのは騎手という職業が好きだから。「でも、ジョッキーを続けたい、続けるならやるしかない、と。初心に帰って、トレーニング方法も変えました。若くないので、体力、筋力が落ちていく。それを維持するためにすごく追い込みました。その分、しんどかったですけどね」。復帰後は描く騎乗とのギャップに悩んだという。「映像を見ると思っているのと全然違う。イメージに近づくのか。不安でした」と吐露する。

 苦労が報われた大きな1勝。このタイトルは流した汗と努力が間違っていなかったことの証しでしょう。「まだまだですよ。大事なのはこれからの過ごし方、自分との向き合い方だと思います」。まだ42歳。新たなスタートを切り、進化し続ける大ちゃんをこれからも応援したい。

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