妖怪文化研究家が考案、地域を感じる「妖怪めし」とは? 奈良の高級老舗旅館が再現

奈良県在住の妖怪文化研究家・木下昌美さんが監修し、5月13日に発売された漫画『妖怪めし』(作:木野麻貴子/マッグガーデン)。それを記念し、作中に登場する木下さん考案の「妖怪めし」を、明治32年創業の高級老舗旅館「四季亭」(奈良県奈良市)が本気度MAXで再現した。

SNSでは「漫画メシを料亭クオリティで食べれるのはうれしい」「心の強い猛者だけがありつける妖怪めし」「高級旅館なのに1500円は破格すぎ」などコメントが上がっており、コラボをきっかけに高級旅館を利用できると注目を集めている。今回、妖怪めしに込めた思いについて、木下さんに話を訊いた。

■ 妖怪の地元を感じられる食材で考案同作は、料理人として旅をする忌火(いみび)と兵徳(ひょうとく)兄弟が、訳アリの妖怪たちに料理を振る舞って荒ぶる心を静める物語。木下さんは、「登場する妖怪が持つストーリーに合うイメージで、その妖怪の地元がはっきり感じられる食材でレシピを考案しました」と説明する。

たとえば、第1話に登場するヒダル神は、特に熊野を含む紀伊半島で多く伝えられており、人間(旅人)に取り憑いて飢餓感をもたらす妖怪だ。飢饉や飢えで亡くなった者が亡霊となって人に憑くとされ、取り憑かれた場合は、飯を食べたり、掌に「米」という字を書いて水で飲んだりなどすれば助かると言われている。

木下さんは、このヒダル神を救う「妖怪めし」として、「鮎みそ+いもぼたの焼きおにぎり」を考案。「いもぼた」は、ヒダル神ゆかりである紀伊半島の奈良県天川村に昔から伝わる郷土料理で、細かく刻んだジャガイモと米を一緒に炊き込み、餅のようにして焼き目を付けたもの。そこに紀伊半島南部の山でよく獲れる鮎に味噌をあえ、「鮎みそ」を創作、「いもぼた」にのせた。

「妖怪を知ることで、その地域の食材やその土地ならではのごはんに繋がると思います。食と妖怪を通じて、地域をまるっと知ってもらえれば」と木下さん。

初日に食べに来た大阪在住の30代男性は、「茗荷、青じそ、生姜など日本のハーブに心惹かれ、(第3話に登場する)こんにゃく寿司を食べました。妖怪と文化のつながりに興味があるので、食文化とのつながりもスッと入ってきました」と、その魅力を語ってくれた。

■ 老舗旅館ならではのこだわりも「四季亭」の太井信太朗代表は、「お客さまは漫画の絵をイメージして来られますので、そこを意識して『再現』に臨み、奈良の食材と四季亭らしさを取り入れました。鮎みその場合は、鮎を味噌に混ぜる前に皮目をパリパリにして、それを粗くほぐすことで鮎の食感を楽しんでいただけるようにしております」と、老舗旅館ならではのこだわりを説明。

「奈良を広めたいと頑張っている人を応援し、そのお手伝いしたい」との思いから、自ら木下さんに声掛けし、今回のコラボが実現したという。コラボは、四季亭レストランにて6月18日まで(昼11時半~2時 ※6月7~9日は休み)。

第1話から第3話までのコラボメニュー(副菜とのっぺい汁付/各1500円・税別)、同じく奈良県在住である同作の漫画家・木野麻貴子さんが考案した「忌火特製 とろろご飯」(600円/税別)を楽しむことができる。『妖怪めし』はウェブマガジン『マグカン』で連載中(木下さんがレシピ動画やコラムも担当)。

取材・文・写真/いずみゆか

(Lmaga.jp)

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