味園6月閉館に注目集まる中…全国で数軒のみ、大阪・十三の希少な現役キャバレー、元気に営業中

大阪・千日前の「味園ユニバース」が6月末に閉館する。2011年に営業終了した日本屈指の「グランドキャバレー」が、貸しホール「味園ユニバース」としてよみがえり、その後音楽イベントなどが開催されてきた。昭和の香りを残した独特の雰囲気を愛する人たちから、惜しむ声も多い。

そんな「昭和は遠くなりにけり」な令和7年おいて、なんと今なお現役、元気な「グランドキャバレー」が大阪・十三にある。昭和-平成-令和と営業を続ける「グランドサロン十三」(大阪市淀川区)だ。

◆ 労働者がグランドキャバレーに大挙した時代。客の追い出しに『軍艦マーチ』そもそも「グランドキャバレー」とは、何なのか。ゴージャスでまさに昭和レトロと言った店内で2代目社長の宮田泰三さんに話を聞いた。

「最近だと『キャバクラ』と『キャバレー』ってどう違うの? とか言われますね。『キャバレー』の語源は、フランス発祥のパフォーマンスをみながら飲食を楽しむ場所なんですが、そこに加え日本では、ホステスさんとの会話を楽しむスタイル。とくに大バコで生バンドを入れたパフォーマンスなんかをおこなうようなところを『グランドキャバレー』と呼んでいて、古くは『クラウン』や『テイチク』の歌手がよく営業に来ていて、『あゝ上野駅 』などで知られる歌手の井沢八郎さんも歌いにこられていますね」

同サロンは『大阪万博』(1970年開催)の前年、1969年にできた。今よりもっと娯楽は少ない時代だ。

「開店当時を知るお客さんに聞くと、製薬会社や町工場など、今より十三には大勢の働く人が集まっていたから、勤め先から仕事を終えた人たちが、どんどん店の前に並んでいく。かなり繁盛していたようです。入店待ちで外に並んでいる人を帰らせないように、店の前で水割りをふるまったとか。店内では回転率をあげるため、時間が来たら『軍艦マーチ』をかけて、お客さんを追い出したとか・・・」。そんなお客さんたちを迎えるため、ホステスが総勢200名近く在籍した時期もあるそうだ。

高度成長期ならではの、勢いを感じるエピソードだが、そんな時代を過ぎ、世の中に娯楽の種類が増えるとともに、各地の「グランドキャバレー」が次々姿を消していった。全盛期は大阪でも30軒以上あったが、同じ十三にあった老舗キャバレー「アルサロふうりゅう」が2024年末で閉店したことで、今では十三に残るのは同サロン、ただ1軒のみだ。

同サロンを宮田さんが引き継ぐことになったのは、ちょうどコロナ禍の2020年。創業社長である父から話があったときには「キャバレーを続けるなんて、活路はない。キャバレーを受け継ぐ話は断るしかない」と思ったそうだが、「自分が断れば、この店は誰もやらないだろう。そうなるとこの場所は取り壊しになるに違いないが、それだけは絶対避けたい。十三にこの空間を残したい」と覚悟を決めて、当時の勤め先の鉄道会社を辞め、父親の事業を引き継いだ。

コロナ禍の営業日には、約170席のキャパに対し、お客さんが5人、対するホステス20人というような日もあった。しかし「今となっては、これだけ広い客席があったおかげで、自動的にお客さん同士の距離が保てて、密にならなくて良かった」と、宮田さんは振りかえる。

◆ 貸会場事業で、今後ますます人が集まる十三の「文化施設」にそんな逆境も乗り越えて、2021年秋からキャバレー営業とは別に、貸会場事業もスタート。現在までに音楽やダンスのイベントや撮影会、結婚パーティーなど約200件の利用があった。

「貸会場は、昭和レトロなキャバレーを、『今まで知らなかった』という人にもホールとして活用してもらって、良さを知るきっかけにしてほしいと思いはじめました。イベントの開催はもちろん、テレビや映画の撮影など、用途はさまざま。付近はマンションなども増え、歓楽街として十三は下り坂が続いていたけど、将来は阪急電鉄の新線で新大阪と繋がるという明るいニュースもある。今こそ生まれ育った街のにぎわいに貢献できる『文化施設』となれれば嬉しい」と、宮田さんは今後の展開も視野に入れている。

もちろん引き続きキャバレー事業も、元気に営業中。宮田さんは「若手から最高年齢は80代まで幅広い年齢の話上手なホステスさんが在籍しています。座席もボックスで区切られているし、ゆったり過ごせますよ。純喫茶に行くような感覚で、はじめての方も、女性おひとりでも来店大歓迎です」と笑顔で話す。

営業時間は夜6時30分~10時45分(日・月・祝日は休み)。初めて来店の場合「パック料金」でひとり7000円で60分飲み放題(ビール・焼酎・ウイスキー・ソフトドリンク)。

(Lmaga.jp)

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