イチロー氏 日本球界へ提言 メジャー日本選手「まだまだ少ない」「各チームに最低1人、2人を期待していた」
米国野球殿堂入りが決まったイチロー氏(51)=本名・鈴木一朗=が21日(日本時間22日)、マリナーズの本拠地T-モバイルパークで記者会見に臨み、日本選手にメジャー挑戦を勧めるゲキを飛ばした。表彰式典は7月27日にニューヨーク州クーパーズタウンで行われる。
先駆者としての矜恃(きょうじ)が言葉ににじんだ。イチロー氏が日本選手に“渡米のススメ”を説いた。01年に日本人野手として初めて海を渡ってから四半世紀が経過したが、自身が切り開いた道に続く選手数に物足りなさを感じている。「僕が(米国に)来てから25年になるが、感覚的にまだまだ少ない。25年後にこんなに少ないのかという感触」と率直な思いを口にした。
「僕が何を担ったかは分からないが、初めての野手としての覚悟を持ってプレーしたことは事実」と当時を振り返った。日本で7年連続首位打者と実績を積み上げたが、細身のアベレージヒッターに対して懐疑的な声もあった。「日本人選手のために、僕がやることで何か開けるか。そんな余裕はなかった。自分の結果を出すことに、もう必死だった」。大リーグ1年目に首位打者と盗塁王に輝き、ア・リーグ最優秀選手(MVP)と新人王を同時受賞。結果で周囲の“雑音”を打ち消した。その後の足跡はあえて述べるまでもない。
これまで松井秀喜氏や大谷翔平(ドジャース)ら多くの日本人野手が米国の土を踏んだ。昨季は大谷がMLB史上初となる50本塁打50盗塁の「50-50」を達成し、今永昇太(カブス)は1年目から15勝を挙げた。今オフも佐々木朗希がドジャース、菅野智之がオリオールズ、青柳晃洋がフィリーズに移籍するなど数人が渡米を決断した。
今季、メジャーでプレーすることが決まっている日本選手は現状で12人。それでもイチロー氏が満足するには至らない。
「南米系の選手はどこのチームだっている。何人もいる。実際の数はいないが、なんだったら米国人よりも感覚的に多い。そこまで到底及んでいない。あまりにも進み方が遅いというのが僕の感触。各チームに最低1人、2人いるくらいになっているんじゃないかと期待していた。そこに全く届いていない。これは僕の感想です」
挑戦者精神をかき立てるかのような日本球界への提言。イチロー氏は新たな侍の出現を待ちわびている。