イチロー氏を父子鷹で支えた父・宣之さん 準満票の殿堂入りを歓迎「そんな完璧な人間がいるのかと、ほっとしました」
イチロー氏の米殿堂入りを受けて、父の鈴木宣之さん(82)が22日、同氏の故郷、愛知県豊山町で取材に応じ「感謝しかない」と晴れやかな表情で喜びを語った。
イチロー氏愛用の野球用品や功績をたたえる品々が集められたイチロー展示ルームで、妻の淑江さんらと喜びを分かち合った。注目を集めた満票での殿堂入りはならなかったが、「ニュースで見てたら1票足らず。そんな完璧な人間がいるのかと思っていましたので、欠けていてちょうどいい、ほっとしました」とむしろ歓迎した。
「冗談を言うと怒られますが、阪急の福本豊さんが『立ちションベンもできなくなる』っておっしゃってた逸話が残ってましたよね」と福本氏が国民栄誉賞を辞退した際のエピソードを持ち出して親心をのぞかせた。
幼少期に「プロ野球選手になりたい」という夢を抱いたイチロー氏を父子鷹として支えてきた宣之さん。「こうと決めたら一直線に突き進む。そういう精神で育てたつもり。毎日、毎日コツコツやった、その積み重ねが大きな出来事につながった」とその道のりを感慨深げに振り返った。
殿堂入りの連絡はあったのかと問われると「もう51歳。いいおっさんになってますから。そんな、おっさんが、親にそんな連絡なんかしてこないでしょう」と苦笑い。
史上初めて日米での殿堂入りを果たした息子に「品格ある野球人」であってほしいと、91年のオリックス入団時に贈ったという言葉を改めて贈っていた。