【野球】13年ぶり首位ターン 阪神、勝負のカギは「8月の貯金量産」9月にはG、S戦集中

 16年ぶりのリーグ優勝を狙う阪神は、前半戦48勝33敗3分けと貯金15を記録し、2008年以来、13年ぶりの首位ターンで残り59試合の後半戦に向かうこととなった。

 今季は、開幕からスタートダッシュに成功したことが何よりも大きかった。開幕カードのヤクルト戦では3連勝を達成。勢いそのままに4月4日以降前半戦ラストゲームの7月14日まで単独首位の座を明け渡さなかった。

 先発陣の防御率は2・95。これはセ・リーグの中ではダントツの好数字だ。チームトップの8勝を挙げる青柳、次いで7勝をマークする秋山、開幕6連勝を達成したガンケル。さらに新人ながらローテーションを守り5勝を挙げたドラフト2位・伊藤将(JR東日本)らの奮闘ぶりがチームの快進撃を支えた。

 打者にフォーカスすると、やはりドラフト1位・佐藤輝(近大)の存在が大きかったと言っても過言では無い。主に6番打者を務めながら全84試合に出場。20本塁打、52打点はチーム2冠と新人離れした成績を残し、幾度もチームの勝利に貢献してきた。

 さらに、サンズやマルテも継続的に試合に出続け、存在感を示してきた。マルテに関しては、過去2年故障での離脱を経験してきたが、今季は佐藤輝同様に全試合に出場。打率・284、16本塁打、46打点とバランスの取れた数字を残している。

 シーズン序盤に好調ながら糸原や大山が故障で離脱するなど苦しい時期もあったが、カバーできる選手がすぐに出現したことも意味があった。4月中旬から遊撃のレギュラーをつかんでいたドラフト6位・中野(三菱自動車岡崎)が糸原に替わって二塁で先発することもあり、三塁の大山に替わる形で佐藤輝が試合に出場するケースもあった。

 交流戦でも全体2位に付け、最後は6連勝フィニッシュというミラクルも起こした。今季最多の貯金21とぶっちぎりの優勝への期待感が高まった。しかし、交流戦明けのリーグ戦再開後は一転する。

 9勝14敗1分けで大きく負け越してしまった。また、痛恨だったのは甲子園で9カード連続勝ち越しなしと、慣れ親しんでいるはずの聖地で勝つことができなかった。

 矢野監督は「若干ムードも重くなってしまっていますけど」と現状を吐露しつつ「でも首位にいることは胸を張っていいと思います。開幕から何カ月もみんな、タイガースらしい野球をやってきてくれたんでね。ブレークを挟んでね、もう一回そういう形(独走態勢)に戻れるように頑張って行きます」と前を向いていた。

 五輪ブレークで疲労を取り、残り59試合に全集中したい。カギとなるのは8月の戦いだろう。後半戦再開後のカードは広島-DeNA-中日-DeNA-広島-中日と下位チームとの対戦が続く。

 広島と中日には6勝4敗、DeNAには8勝7敗と大量ではないが貯金を作っている。この間、2位・巨人と3位・ヤクルトとの直接対決が2度組まれており、こちらは死闘が繰り広げられることが予想される。

 9月にはその2位・巨人と3カード対戦、3位・ヤクルトと2カード対戦と苦しい戦いが待ち受けている。それだけに、阪神としてはいかに8月の対戦時に、貯金を多く作れるかが優勝へのカギとなりそうだ。

 課題はビハインドの展開をはね返す力だろう。12日・DeNA戦(甲子園)のように佐藤輝~大山の5連打で3点差をひっくり返すサヨナラ勝利もあったが、そういう展開は非常に珍しい。実際、六回終了時点でビハインドとなっている時の勝敗は3勝23敗1分け。

 先制した時の勝敗は39勝10敗3分けと圧倒しているが、相手に先制された時の勝敗は9勝23敗。先制した勢いそのままに勝利の流れを作るのが理想的な攻撃となるが、先に相手に優勢な展開を取られても、反発力を見せられるかが試合を優位に進めるポイントとなるだろう。

 矢野監督も後半戦へ向け「勝負事は勝ってしか証明できない。証明するためには勝つというところだと思うので、勝てるようにしたい」と、目の前の試合に一戦必勝で臨む覚悟を示している。

 指揮官の言うように「タイガースらしい野球」を選手たちが体現し、いかに勝ちきれるかが勝負のカギとなる。後半戦まで約1カ月。最善の形を練りながら、悲願の優勝実現への態勢を整えていく。(デイリースポーツ・関谷文哉)

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