【野球】五輪開会式のON、松井氏の3ショットに26年越しの思い叶う

  東京五輪開会式 聖火のトーチキスを行う(左端から)王貞治さん、長嶋茂雄さん、松井秀喜さん(7月23日午後11時42分、東京・国立競技場で)=代表撮影 
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 新型コロナウイルス感染症が終息気配をみせないまま東京五輪が開幕した。日本勢は柔道の阿部一二三(23)、詩(21)兄妹の同日金メダル、西矢椛の13歳での日本最年少金メダル獲得などをはじめ順調にメダル数を積み上げている。

 そんな中、私が注目したのは23日に行われた開会式の聖火リレーだった。巨人、ヤンキースなどで活躍した松井秀喜氏(47)に付き添われた長嶋茂雄巨人軍終身名誉監督(85)と福岡ソフトバンクの王貞治会長(81)が並ぶ姿には、感慨深いものがあったからだ。

 長嶋終身名誉監督と王会長は、ON砲として巨人のV9に貢献した野球史に名を刻む名選手だが、現役を退いてから公式の場にそろって登場する場面は少ない。

 20世紀最後の2000年の日本シリーズで、長嶋監督が率いる巨人と王監督が率いるダイエー(現ソフトバンク)が激突。“世紀のON対決”として騒がれたのがいまだに話題となっているが、私は取材の現場にはいなかった。

 私の記憶をたどるとONが指揮官として初対決したのは1995年3月3日、大分でのオープン戦だった。さすがに現役時代のONを取材したことはないがその試合、私は長嶋番記者として現場にいた。違ったユニホームを着たONが初めて同じグラウンドに立った瞬間、打撃ゲージの裏では300人を超す報道陣が輪を作った。

 ミスターの発した王監督への第一声は、なぜか「ご苦労さん」だった。そして「若手がいいんじゃない」と続けた。その後、カメラマンの要求で2人は満面の笑みで手を握り合った。だが、絶えず比較されてきたONの間にしか存在しない微妙な空気感が漂っていた。

 試合は4本塁打を放った巨人の圧勝だったが、あくまでもオープン戦。試合後のミスターのコメントも「ゲームですから勝ちは意識するけど、いまは中身ですから」と冷静だった。

 一方、グラウンド外での盛り上がりはすごかったように思う。当日の新聞を読み返すと、入場券は同年2月10日に発売開始されたが、当日に特別指定席、内野指定席の計1万3000枚が完売。外野席も3日間で売り切れた。ダフ屋が3800円の特別指定席を5万円で販売していたとの報道もあった。のちにこのオープン戦の視聴率が20パーセントを超えていたと聞いた。

 翌日も大分で同じカードが組まれていたが、雨のため中止となった。だが、5日に福岡ドームの再びONが激突。この試合も取材現場にいたが、ダイエーがサヨナラ押し出しで勝利をもぎ取り、王監督がリベンジを果たしたと記憶している。

 3月3日のON対決に松井氏は帯同していなかった。長嶋監督はこの時期、松井を球界の4番バッターに育成するため「松井1000日構想」を打ち出しており、本来なら試合に出場するはずだった。だが、キャンプ中に左足首を故障し、宮崎に残り調整していたからだ。

 それだけに、私にとっては26年前にみたかったスリーショット。東京五輪の開会式は、私にとって大会最初の金メダル級の感動だった。(デイリースポーツ・今野良彦)

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