【野球】準硬式野球からNPB挑戦決意 文武両道貫く理工学部の秀才、早大・関大輝外野手

 10月11日のドラフト会議まで、あと1週間となった。大学生は全国各地区で秋季リーグ戦の真っただ中。プロ志望届を提出した選手たちが最後のアピールに懸けるのと同じように、早大の準硬式野球部に所属する関大輝外野手(4年・江戸川学園取手)も別の舞台からNPBへの道を切り開こうとしている。

 早大入学当初は神宮でのプレーに憧れて硬式野球部の門をたたいたが、基幹理工学部の講義との両立が難しくあきらめざるを得なかった。「勉強ありきのスポーツだと、自分は考えているので」。ただ、5月中旬には縁あって準硬式野球部へ入り直すこととなった。

 “古巣”とグラウンドが隣接する“新天地”では1年夏の全国大会で公式戦デビューを果たした。3年秋までに3度のベストナインを獲得。「日々成長しているのはわかっていた」と変化球への対応力や逆方向の打撃に磨きがかかり、周囲の勧めもあって異例の挑戦に踏み切った。

 「目指せる環境があれば」と春先には就職活動を休止し、覚悟は決まった。社会人野球の練習にも参加する機会を得ながら、やるからにはNPB志望。「野球でご飯を食べられたらそれは一番幸せなこと」と並々ならぬ決意で挑んでいる。

 東京六大学準硬式野球の春季リーグ戦後には、紅白戦やオープン戦で従来の公式戦で使用する金属バットではなく木製バットを手にするようになった。「監督、コーチにも許可をいただいて。『できる限りやってみろ』みたいな形になっています。本当にありがたいですね。やっぱり珍しいので、ヤジはすごいきますけど(笑)」

 目指す世界での“商売道具”でも、硬式球よりも飛ばないとされる準硬式球を打って本塁打が出るようになった。「自分は木の方が好きですね」。手応えは着実につかみつつある。守備面では家族が経営する学習塾を手伝う傍ら、“教え子”の高校球児と硬式球でキャッチボールをして感覚を養ってきた。

 勉強と野球の両立を貫いている。茨城・江戸川学園取手では評定が4.9で学年1位。理系で進んだ大学でも決して手を抜かなかった。千葉・船橋市から片道90分をかけて通いながら、帰宅後にも近所のバッティングセンターでバットを振り込む日々。3年秋には講義の影響で平日午後の全体練習へ一度も参加できなかった中、時間のある午前中に自主練習して補った。

 「文武両道の大切さというものを少しでも皆さんに伝えられればと思います。こういった環境の中でプロを目指せるということを知っていただけるだけでも、進路希望をされている高校生とかの自信になったりとか」

 昨年度ドラフトで西武5位に大曲錬(福岡大)が指名されたことで、関の名前が呼ばれれば準硬式野球部出身としては2年連続となる。野手では部の先輩で西武の内野手だった山田和幸以来3人目の快挙だ。(デイリースポーツ・佐藤敬久)

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