【野球】亀井が巨人を離れる“危機感”を抱いた18年オフ「オレやってどうなるか」

 巨人・亀井善行外野手(39)が21日、今季限りでの現役引退を表明した。昨季から悩まされていた股関節の故障などがユニホームを脱ぐ決断の理由となったという。

 巨人一筋17年。勝負強い打撃、堅実な守備などで存在感を発揮し、原監督からの信頼も厚い生え抜き選手だった。首脳陣だけではなく先輩、後輩問わず誰からも愛される選手だった印象が強い。

 忘れられない出来事がある。18年オフのジャイアンツ球場。内海が炭谷の人的補償で西武への移籍が決まった際、同い年だった亀井に話を聞きにいくと声を落としていた。

 「言葉が出ないよ。ショックはでかいけどあいつがどう思っているか。生活のために切り替えてやろうとは思っているだろうし。ただ、同級生としてさみしい」。共に戦って来た戦友の心境をおもんぱかり、偽らざる本音を漏らしていた。

 内海への思いを語った後、車中の亀井がポツリと言葉を吐いた。「正直、オレやってどうなるかは分からんから」-。同年オフは丸を広島からFAで獲得することが決まっていた。広島にとっても外野の中心的存在が抜けることで、人的補償の補強ポイントは経験値の豊富な外野手になるだろうと予想されていた。

 SNSや周囲からも人的補償の候補選手のうわさが散見する日々。亀井も「もしかしたら…」と不安を覚えながら、黙々と球場で自主トレを続けていた。最終的には後輩の長野が広島に移籍することになり、亀井は19年も巨人でプレーすることになった。

 19年は2番・坂本、3番・丸、4番・岡本の“サカマルオカ”の前に君臨する1番打者として亀井は奮闘した。オフには危機感を抱いていた背番号9が長打も打てる先頭打者としてチームをけん引。リーグ優勝にも貢献し、同年10月22日の日本シリーズ・ソフトバンク戦(東京ド)では初回先頭打者本塁打を含む2打席連続アーチを放った瞬間は、ベテランの意地を感じた。

 09年にはWBC日本一メンバーにもなり、輝かしい実績を残してきたが、現役生活では不動のレギュラーというわけではなかった。それでも生え抜き選手として戦い続けた亀井の存在は、精神的支柱だったに違いない。巨人一筋で駆け抜けた17年間の輝きは、決して色あせることはない。(18年・巨人担当 デイリースポーツ・関谷文哉)

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