【野球】阪神2軍 1軍へ戦力を送り出す平野コーチの指導理念 次は高山、陽川、江越か
ウエスタン・リーグで阪神が優勝を果たしたのが9月24日。平田2軍監督は優勝インタビューでマイクを握ると、詰めかけた虎党に力強く宣言した。
「1軍は残り26試合を残しています。必ず、今日みなさんがご覧になった選手たちが、1軍の戦力となって活躍することを私は確信しております」
「確信」-。この言葉は現実となった。10月14日の巨人戦では板山が0-0の九回に決勝の適時打。ここ数試合は故障の近本や、不振が続いていた佐藤輝、サンズに代わり、ロハスが存在感を示している。
板山、ロハス、山本、小野寺、村上、小林。9月24日に2軍優勝を経験したメンバーが、2軍指揮官の言葉通り、1軍の戦力となっている。
2軍の選手を1軍へ送り出したい気持ちは、もちろん今も同じ。宮崎のフェニックス・リーグで残り少ないシーズン、そしてCSに向けて、選手たちは汗を流している。
野手に目を向けると、各選手が自らの課題克服に取り組んでいる印象だ。それを、支えるのが平野2軍打撃コーチ。選手たちと対話し、課題を認識し、指導、助言を行っているように思える。
高山は体の軸を意識させるためか、ティー打撃では10種類近くに及ぶ、動きを取り入れている。片足で立ってスイング、スイング後に元のトップ位置へバットを戻す、打った後に軸足へ極端に体重を残すなど、メニューはとにかく豊富だ。
同コーチに意図を聞くと「色んな意図があるんだけどさ。キレを出してるつもりはないよ。これは、言いたくないな~(笑)。その選手の弱点にもなるから」。この答えからも、選手への思いが伝わってきた。
平野コーチは、指導への理念を持つ。「色んなアプローチをしていく中で、どれが継続してやっていけるのか。こっちは色んな引き出しを与えて、あとは本人がやるかやらないかだから。納得できるように、結果が出る前に言っておくことで、信頼関係が生まれる」
高山がその1人だという。「高山も去年から取り組んできたことがある。彼が納得できるように。でも、最近はある意味、言うことを聞いてくれるんで(笑)。いいアプローチ、手助けができればいいなって思ってます」
高山だけではない。陽川はバットの先端が投手側に向きすぎることで、バットの出方が課題。23日の試合後には、地面にボールを3つ置き、左手一本でその球を打つ動きを取り入れた。「遊びの中で、バットの出し方を確認した」と陽川。これだけが要因ではないが、翌24日には2本の二塁打を放った。
江越はスタンスを狭くするなど、鏡の前で入念にフォームを確認する姿が見られる。熊谷はティー打撃で右足にメディシンボールを置き、体重移動を確認。小幡や遠藤ら若手選手は強く振ることを意識させている。
「結果ではなく、課題に取り組む姿勢が大切」と平田2軍監督。試合後の取材でも、安打が出た選手よりも、凡打の内容が良かった選手を褒めている。思えば、2月の安芸キャンプでも、「ここにいる選手が悔しさを持って、1軍へ」と話していた。及川や島田はその期待に応えた。
次は宮崎から1軍へ。今季ではなく、来季にその答えが出るかもしれない。ただ、必ず今宮崎にいるメンバーが、1軍の戦力になると私も「確信」している。(デイリースポーツ・今西大翔)