【競馬】ホウオウアマゾンとパンサラッサで“勝負の6月”に挑む大ベテラン・矢作厩舎の池田康宏厩務員

 ダービーが終わり、上半期のG1は、今週末の安田記念(6月5日・東京)と、宝塚記念(6月26日・阪神)を残すのみとなった。そんな2つの大一番を前に燃える大ベテランがいる。矢作厩舎の池田康宏厩務員(63)だ。自らの担当馬であるホウオウアマゾンで安田記念、パンサラッサで宝塚記念にチャレンジする。

 昨年のアーリントンC覇者ホウオウアマゾンは、過去3度G1に参戦し、昨年のマイルCS5着が最高。昨年末、矢作師が「来年はこの馬と大きなところを獲りたい」と高く評価していたように、確かな能力を持つ4歳馬だ。東京は2戦2敗だが、左回りの中京マイルで勝ち鞍があるように、決して条件が合わないとは思えない。精神面の影響が大きく、力が出し切れていないだけだろう。

 マイラーズC2着後、話を聞かせてもらった。前走も輸送距離の短い阪神でのレースだったが、競馬場に着いた直後はイレ込んだのだという。ただ、そこからが腕利き厩務員の真骨頂。30分間引き運動をして体を洗ったところ、スッと落ち着きを取り戻したそうだ。

 ここが私が池田さんをすごいと感じるところ。半世紀近い厩務員のキャリアで培われた数々の“引き出し”を持っていて、そこから馬の状況に応じ、最も適した対応策を選ぶことができる。数年前、矢作師も感心しながらこう話していた。「正直、今回は厳しいかなって馬がいたんだよ。けど、さすがやっちゃん(池田康宏厩務員)だよな。きっちり戻してきたもんな」。指揮官も驚く、ベテランならではの調整術が、そこにはある。

 「本番までにいろいろと確認できて良かった」と収穫十分の様子で笑っていた池田さん。東京に変われば異なる面もあるはずだが、まだまだ策はありそう。金曜輸送のプランもあるとのことで、府中での2度の敗戦を糧に、万全の状態へ仕上げてくるに違いない。

 もう一頭の担当馬パンサラッサは、今年の春にドバイターフをV。人馬とも初のG1制覇を海外で達成したばかりだ。宝塚記念に挑む5歳馬についても、「パンサラッサはコーナリングがうまいし、内回りなら何とか距離も持つと思う。安田記念に宝塚記念と6月は忙しくなりそうやね。まあ、見ておいてよ」と腕まくり。頼りになる相棒たちとともに、次は国内のG1タイトルを狙っている。

 来年7月には自らの定年が迫る。「この年齢になって、こんなにいい馬やらせてもらって、本当にありがたいね」と常々感謝を口にしている池田さん。厩務員人生もいよいよラストスパート。新たな夢の実現に向けて奮闘する人馬の“勝負の6月”を、しっかりと目に焼きつけたい。(デイリースポーツ・大西修平)

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