【野球】逆転8強の仙台育英「21番目の選手」がV打、ブルペン捕手が“采配” 監督「涙がでちゃう」

 「全国高校野球選手権・3回戦、仙台育英5-4明秀学園日立」(15日、甲子園球場)

 3年ぶり29度目の出場となった仙台育英(宮城)が、明秀学園日立(茨城)に逆転勝ちし、8強一番乗りを果たした。

 2点を追う七回、押し出し四球2つで同点に追いつくと、途中出場の岩崎生弥(3年)が決勝の犠飛を放った。

 岩崎は四回に代打で出場し、適時打。この日2打点と勝利に貢献したが、病気で約1年間の療養生活を過ごすなどし、県大会ではベンチ外だった。

 須江航監督は「病気の影響がないと言えばウソですけど、仕上がりがちょっと遅かったんです。もし背番号があるとするなら、21番目の選手だった」と明かした上で、「やむなく入れないけど、必ず君の打撃が必要な時がくる。信じて最後まで練習を続けてくれ」と伝えた。

 願い通りに出番を待ち、紅白戦、練習試合で結果を残して勝ち取った背番号。須江監督も「抜群の成績を出しましたから、彼の精神力です」と脱帽する。「彼の勝負強さは頭が下がりますし、見ていて涙が出ちゃうくらい、努力だったり、重ねてきたことの素晴らしさがある」と続け、「いろんなものを経て打席に立っている。心、技術の安定感が違う」と絶賛した。

 守ってはタイプの違う4投手で継投。逆転勝利につなげた。絶えずブルペンで投手が肩を作って準備する状況。起用する選手、タイミングについて須江監督は、ブルペン捕手を務める溝上勇人(3年)の存在を明かす。

 背番号1の古川翼(3年)を2回2/3で代え、五回からは左腕の齋藤蓉(3年)を起用。2回1失点と安定した投球で流れを呼び込み、七回からは高橋煌稀(2年)が3回無失点で試合を攻めた。

 勝負の分かれ目となった五回、2投手が準備していた中で齋藤を起用したことに、須江監督は「ブルペンの捕手とよく話をして、どちらがいいかの判断を、相談を重ねて齋藤でいくと切り替えた」と説明。「溝上というブルペンキャッチャーが、チームの中に複数の捕手はいるんですけど、一番そういうことに長けている選手で、ベンチに入っている。試合には出ていませんけど、素晴らしい活躍をしているのが溝上」と、陰の立役者に賛辞を送る。

 小刻みの継投に、ベンチ選手の活躍。まさに一丸野球での逆転勝利だった。「今までずっと日陰にいた子たちが努力を重ねてベンチに入り、活躍してくれることに、指導者として本当に感謝しています」。指導者冥利(みょうり)に尽きる1勝に、須江監督の声も少しだけ震えていた。

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