【野球】明秀学園日立、初の女子マネジャー 監督に“スカウト”され「一緒に野球がしたいです」

ベンチから試合を見守る明秀日立・田中杏璃マネジャー(中央)=甲子園(撮影・伊藤笙子)
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 「全国高校野球選手権・3回戦、仙台育英5-4明秀学園日立」(15日、甲子園球場)

 明秀学園日立の夏が終わった。ナインを支え続けてきたのは、マネジャー兼副主将を務める田中杏璃さん(3年)。同校初の女子マネジャーとして、最後まで戦いを見届けた。

 元々、祖父・伸次さん(66)と金沢成奉監督(55)は親交があり、指揮官から冗談交じりに「うちにこないか?」と誘いを受け、入学を考え始めた。

 決め手となったのは、年末に監督が部員全員に手紙を書いていたことだ。思いやりのある指導者に感銘を受け「金沢監督の下で、野球面、人間性を構築していくことができるんじゃないかと思った」と決心。監督に「一緒に野球がしたいです」と手紙を送り、初の女子マネジャーの入部を実現させた。

 たくさんの苦労があった。昨秋の大会前、練習試合での敗戦をきっかけに、チームがばらばらになった時には特に苦戦したという。それでも「自分の役割を果たそう」と、監督と選手の架け橋となり、チームを支えてきた。

 野球部は全寮制で、人間関係について母・友紀美さん(39)に弱音を吐いたこともあった。だが、帰省した際には、友紀美さんは「人との接し方が変わっていました。気が利くようになっていた」と、成長ぶりに驚いたという。田中さんが寮に戻る時は「パパ、ママ、絶対甲子園に連れて行くからね」と置き手紙を残し、頼もしい背中で家を出た。

 そして、念願の夏の甲子園にたどり着いた。ベンチで声を出し続け、選手と一心同体となり臨んだ。逆転負けで8強を逃し、悔しい結果となったが、田中さんは「明秀らしい、打撃の素晴らしい試合だった。つらいことも乗り越えて色んな経験をさせてもらった。明秀の野球部に携われたことは幸せ」とすがすがしい表情。どんな困難にも屈しない姿は、選手たちの原動力になっていたはずだ。(デイリースポーツ・南 香穂)

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