【野球】なぜオドーアは巨人退団を申し入れたのか 契約に2軍落ちさせないという条項はなし 開幕3日前の反乱

 プロ野球開幕を3日後に控えた26日、2年連続Bクラスからの浮上を目指す新生・阿部巨人から衝撃的なニュースが飛び込んできた。メジャー通算178本塁打の新外国人、ルーグネッド・オドーア外野手(30)の退団が発表されたのだ。

 オドーアはオープン戦12試合に出場して打率・176、0本塁打、0打点と苦しみ、オープン戦最終戦となった24日の楽天戦後に阿部監督から2軍での再調整を指示された。だが、吉村編成本部長によると「彼の中ではファームに落ちて調整するのは受け入れられないと。何度も話し、説明を続けましたが気持ちは変わらず、退団を申し入れてきた」と説明した。

 吉村本部長は25日、そして26日も本人と向き合い、翻意するように説得したが、オドーアは一貫して降格なら退団を主張。球団側は契約に際して、オドーア本人、代理人に対して「監督の言葉に対して異議を唱えることはできない」という条項を盛り込んでいたが、オドーア側は強硬に開幕2軍ならば退団というスタンスを崩さなかったという。

 「狂犬」の異名がつくキッカケはレンジャーズ時代の2016年。二塁に就いたブルージェイズ戦で、バティスタのスライディングで守備妨害を受けると激しく怒りを表し、突き飛ばして右ストレートパンチを繰り出し、両軍ベンチから選手が飛び出す乱闘騒ぎになった事件がある。

 それでも、入団会見ではトレードマークだった長いヒゲをそった姿で登場し、「チームの決まりごと。それに従おうと」と、異国の地での再出発に意気込んでいた。

 オープン戦打率は確かに低い数字だったかもしれない。ただ、直近2試合ではいずれも内野安打ではあったが、Hランプをともしていた。まだ12試合。日本の野球にこれからさらに順応していこうと考えていたと思われる中での開幕2軍通達を、元メジャー戦士のプライドが許さなかった可能性はある。

 ただ、吉村本部長は「開幕のメンバーには入らないけど、しっかりファームで調整してコンディション等全て上げてくれと話し合った」と説明。競争を明確に掲げた今季。状態さえ本来の姿に近づけば、昇格させる道筋は残していた。それだけに契約に反する監督への異議は不可解としか映らない。

 年俸2億円の1年契約。球団側が解雇したわけではなく、オドーア本人が退団を求めてきたことから、一般的には球団が今後、オドーアに対して年俸を支払う必要はないと思われる。この点に関して吉村本部長は「その辺は後日、球団の方と話し合うことになると思いますけど。実際、契約は彼が解除してくれということなので」と話すにとどめた。

 今回の退団騒動をオドーアのゴネ得と受け取る向きもあるだろうが、同じ方角を向いていない選手をチームに残し、貴重な支配下登録枠が有効に使えないと判断したのであれば、今回の巨人の措置は致し方ないと思われる。

 「チームの決まりごとだから」だと言って自慢のヒゲをそり落とした男が、2カ月後に「監督の言葉に対して異議を唱えない」という『決まりごと』に盾を突いた。ファンを裏切った責任も重い。(デイリースポーツ・鈴木健一)

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