【野球】阿部巨人 首位争い支える投手陣改革とは? 目標は四球1割減「ゾーン内」「3球勝負」推奨

 昨季の秋季練習で杉内1軍投手チーフコーチ(中)、内海1軍投手コーチ(右)と話す阿部監督(左)=2023年10月19日
 先発する巨人・堀田
2枚

 5月11日、巨人は阿部慎之助新監督(45)の政権下初、単独では実に722日ぶりの首位に立った。今季21勝の内訳で2点差以内の勝利は11。半数以上で接戦を勝ちきっている。2年連続Bクラスからの変化とは。1点差を勝ち切る「阿部流マネジメント」をひもとく中、特筆すべきはリリーフ陣の安定感。投手起用を支える杉内、内海両投手コーチの存在感に迫る。

 巨人の投手陣には合言葉がある。「ゾーン内勝負」。試合前には先発投手が呪文のように唱え、試合後は好投した投手が効果を言葉にする。阿部監督が就任した昨秋から掲げてきた改革。すっかり浸透した背景に、信頼を置く杉内、内海両投手コーチの存在も大きい。

 1月のスタッフ会議。杉内チーフ投手コーチは「四球1割減」のチーム目標を誓った。監督が示すゾーン内勝負の有効性をデータで解説。例えば、セ6球団の捕手が構えた位置は「ゾーン内で勝負していた」阪神、広島、DeNAの上位3球団に対し、Bクラス3球団のミットは外にあった。

 「メジャー式じゃないんだけど、メジャーはゾーン内勝負が主流。どうしても日本は、ボール球を振らせるって習慣が残っている。平行カウントにしたがるとかね。無駄球も増えるし、球数も増えてイニング数も伸びない。その辺から改善していきましょうと話した」

 ドラスチックな改革を断行するために「3球勝負、本塁打、ど真ん中」と、一般的にはタブーとされる要素全てをOKとした。リリーフは勝ちパターンの投手以外は、7人目の「先発候補枠」。赤星、堀田、井上、横川らがこの枠で、堀田はここまで3勝と結果を残す。チーム方針として2軍からの昇格即先発はなく、リリーフで結果を残せば先発と明確にした。

 数値でも証明されている。昨年3・81の救援防御率は現時点で2・27と改善。強力なリリーフ陣を誇る阪神とも僅差で推移する。50ホールドはリーグダントツで、救援投手の1試合平均の球数は50・45。昨季は58・99で「8球の差」は年間で1100球を超える。四球数減につながるだけでなく肩、肘の負担軽減と相乗効果は計り知れない。

 抑えの大勢、八回を任されていた中川が故障で離脱中。そんな状況下でも、ブルペンに安心感を与えているのが内海投手コーチだ。心がけるのは「寄り添う」指導法。「なるべく近くで見て、その日の調子を把握する。気持ちよくマウンドに上がれるような振る舞いというか…。自己満ですけどね」と笑う。準備段階の球数から管理し、連戦での3連投はまだない。

 戦況を読みながら杉内コーチと連携を図り、登板に備えて準備させる。「それでも緊急登板はあるので、メンタル面はケアできるようにね」と対話を重視する。長くエースとして活躍した同コーチ。「強かった時はそうだった」と、全ローテ投手の遠征参加を提案した。「状況をしっかり把握できることが一番。(チーム)の浮き沈みは帯同していると敏感に感じる」。両コーチが支えるチーム改革。監督、コーチの信頼関係もまた、今年の強さを裏付けている。(デイリースポーツ・田中政行)

関連ニュース

編集者のオススメ記事

インサイド最新ニュース

もっとみる

    ランキング

    主要ニュース

    リアルタイムランキング

    写真

    話題の写真ランキング

    注目トピックス