【野球】岡田阪神はこれで終戦なのか 巨人との天王山第2ラウンドで痛恨の完封負け 残り5試合で2ゲーム差
「阪神0-1巨人」(23日、甲子園球場)
痛恨の敗戦だ。前夜の完封勝ちで首位・巨人に1ゲーム差に迫った阪神が、まさかの1-0完封返しを食らった。球団史上初のリーグ連覇に向けて、天王山での2連勝を狙ったが叶わず。残り5試合ということを考えれば、1勝1敗は実質、後退に近い結果だろう。
超満員の観衆を味方につけられなかった。復帰後4戦4勝の左腕・高橋が初回を三者凡退に抑えると、先頭の近本が左前打。犠打で1死二塁としたが、森下が外角球に当てただけの二ゴロ。大山の四球を挟んで、佐藤輝は空振り三振。二回2死一、二塁では近本が投ゴロ。三回2死三塁では、またも佐藤輝が空振り三振に倒れた。
阪神OBの中田良弘氏は「佐藤という選手は本当によく分からない。ダメだと思ったら打つし、期待するとボール球を振ってしまう。計算が立ちづらい選手」とした上で、「自分で自分の首を絞めていることに気づいてないのかな。相手からしたら、佐藤は怖いバッターのはず。なのに、自分から崩れていってる。ボールは自然と向かって来るのに、自分から迎えに行く場面が多いよね。ローボールヒッターではあると思うんだけど、見逃せば完全なボール球に手を出していた。岸田の配球に狂わされた部分もあったように見えたけど、どこか空回りしているような感じがした。自分がどんなバッターなのかを理解すれば、もっといいバッターになれるはず」と解説した。
6回無失点と踏ん張っていた高橋が七回に3連打で先制点を失い、これが決勝点になった。1点を追った九回2死一塁では、代走の植田が二盗を決め、一打同点の場面を整えたが、木浪のバットが空を切った。今季最大と表現して過言ではない失意の声が銀傘で跳ね返り、やり場のない思いがスタンドに充満した。
22日にテレビ解説で球場を訪れていた中田氏。「試合前からいつもとは違う空気が漂っていた。歓声の大きさも違うし、ファンも1球に集中していた。独特な緊張感だったけど、阪神にとっては背中を押してくれる雰囲気だった」と振り返る。
勝てばゲーム差なしに迫れた一戦だったが、まるで前夜の巨人打線を見るかのように再三の得点機で凡打の山を築き、ホームが遠かった。中田氏は「グリフィンは良かった。真っすぐに力があったし、腕の振りも投手としては理想的な投げ方ができていた」としたが、「それでも序盤に得点を奪えなかったことで、グリフィンを楽にさせてしまった部分もあっただろうね」と指摘した。
巨人の優勝マジックは2つ減って「4」となり、最短優勝日は27日。もはや、阪神は終戦なのだろうか。
中田氏は「巨人からすれば、この2連戦は1勝1敗で御の字だったはずで、巨人有利な状況だとは思う」としながらも、「まだこれで完全に巨人の優勝と決まったわけじゃない。巨人が連敗する可能性だってあるし、今年は最後の最後までもつれる気配がある。阪神が27日からの広島戦を迎える前に、巨人はDeNAとの2連戦がある。そこに関しては自分たちの力でどうすることもできないけど、残り試合に全勝する気持ちで諦めずにいてもらいたい」と結んだ。フィナーレは近づいているが、勝負の神様はどんな結末を用意しているのだろうか。(デイリースポーツ・鈴木健一)