【野球】楽天・古謝 イヌワシ軍団の未来を担う左腕 1年目への思いと来季への誓い
楽天のドラフト1位ルーキー・古謝樹投手(23)は、15試合に先発し5勝8敗、防御率4・32で終えた。チームが4位に終わった1年目を終え、イヌワシ軍団の未来を担う左腕は何を感じたのか。今季の振り返りと来季に向けた思いに迫る。
充実のシーズンだった。古謝は開幕こそ2軍で迎えたが、5月に1軍デビューを飾ると、6月8日の中日戦(バンテリン)でプロ初勝利。そこから最後まで1軍の先発ローテを守り続けた。
「成績には全然満足していないけど、3月(ファーム)から最終戦まで投げ切れたことは、自分としては納得です」
意味のある期間となったのがファームでの時間だ。キャンプ、オープン戦と1軍に帯同していたが、当初は2軍落ちを恐れていた。結局、開幕ローテ入りを逃すも「ずっと1軍にいるのもいいけど、いろんな雑用だったり野球以外のことを経験できて、プロ野球全体を知れた」と心境に変化があった。また、試合では長いイニングを投げ「自信がついて(1軍でも)やれる感じはしていた」と着実に経験を積んだ。
徐々に立ち姿も変わってきた。元々緊張しやすい性格で、登板前は表情が硬かった。それでも「緊張はするけど、いい緊張感に持っていけるように準備段階で調整できた」と話す。中でも、試合中の切り替えは大事にしている。「四球を出してしまっても結果は変えられない。試合後に反省するので、そこからどう抑えるかを考えている」とマウンド上で強気な姿勢は崩さない。
体も強い。プロとしての初めてのシーズンは「休む暇はなかったし、1年間ずっときつかった」と疲労を感じることもあったが、トレーニングコーチや栄養士からのアドバイスを受け、徹底的に体をケア。学生時代はケガに悩まされることも多かったが「今のところ痛いところもないので成長できた」とうなずいた。
プロとしての自覚も芽生えている。試合前練習を終えると、長い時間ファンへのサインを行うなど“神対応”が目立つ。これは自身が小さいときにプロ野球選手からもらったサインが印象に残っていて「もらった時はうれしかった。逆の立場になったらしてあげたいと思った」と夢をもらう側から与える側になった。
ライバルの刺激もあった。同じ左腕で大学時代に日本代表でチームメートだった西武・武内だ。新人ながら2桁10勝をマーク。「1年目から活躍するだろうと思っていた。逆に活躍してくれないと(自らがプロで)やっていけないだろうと思う」と苦笑い。「ピッチャーとしての基本ができていて、自分は課題もあるので、投げ合いに勝てるくらいの実力をつけたい」と力を込めた。
充実の1年を終え視線は先に向く。「自分が投げ勝ったのは二つくらい。まぐれで(目標の)2桁は勝てないので、投げ勝てるようにならないと届かない。現状に満足することなくやっていきたい」と来季を見据えた。(デイリースポーツ・滋野航太)
◇古謝 樹(こじゃ・たつき)2001年8月18日生まれ、23歳。神奈川県出身。182センチ、75キロ。左投げ左打ち。投手。湘南学院、桐蔭横浜大を経て23年度ドラフト1位で楽天入団。プロ初登板初先発は24年5月25日・日本ハム戦で負け投手。