【野球】オリックス育成・小野が豪州リーグで得たもの 異国の地で過ごした充実の1カ月間
オリックスの育成選手、小野泰己投手(30)が昨年11~12月に参加した豪州ウインターリーグで8試合連続無失点と無双し、持ち味の直球は「今が一番いい」と過去最高の手応えをつかんでいる。岸田新監督も「160キロくらい出ているんじゃないか」と期待は大きい。開幕までに支配下登録を目指し、古巣・阪神との甲子園での対戦に思いをはせた。
豪州でパワーヒッター相手に、小野はうなるような剛速球を投げ込んでいた。最速159キロの直球で真っ向勝負。「三振かホームランみたいな勝負が自分の中では好きだったので、楽しかったです」。異国の地で充実の1カ月間を過ごした。
映像を見ていた岸田監督も驚くばかりだった。「すごい球を投げていましたよ。向こうで契約でもしてくるんじゃないかと(笑)」。新年が明け、大阪・舞洲の球団施設で指揮官自ら小野の元に向かい、「すごい球を投げていたな」と期待の言葉を伝えた。
小野は昨年から手応えを深めていた。ウエスタンの後半戦では常時150キロ台の直球で勝負し、相手を寄せ付けない投球を披露。好感覚を維持したまま渡豪し、さらにレベルアップした。
海外の打者とは、力と力のぶつかり合い。直球の向上を実感したのは、高めの真っすぐで空振りを取れたことだった。「日本でやってきた投球スタイルがどれだけ通用するかが目的だった。意外とできましたね」と成功体験が自信となった。
阪神時代の18年は先発で7勝を挙げて将来を期待されたが、19年以降の道のりは決して平たんではなかった。22年はオリックスとのオープン戦で14球連続ボールという悔しい投球を経験した過去がある。同年オフに戦力外通告を受け、オリックスに移籍した23年は、制球力向上を目指しサイドスローにも転向した。
「一番投げやすいところで投げたい」と昨年途中から元のオーバースローに戻し、自慢の快速球がよみがえった。「スピードも去年1年間は出ていたので、『これぐらいしっかり打者と勝負できれば』という感じはありました」。苦しんだ時期とは違い、今は自信を持って勝負ができている。
オリックスでは昨季の開幕前に育成選手だった椋木と富山が支配下再登録を勝ち取った。小野も開幕前の再登録を目指し「アピールしていきたい。シーズンでも0点にこだわっていきたいです」と、春先からの全開アピールを目指していく。
今季は阪神との交流戦が6月6~8日に甲子園で開催予定だ。「甲子園で投げてしっかり抑えたいですね」と意欲十分。勝負の一年。背番号130が自らの手でチャンスを切り開く。(デイリースポーツ・関谷文哉)
◇小野 泰己(おの・たいき)1994年5月30日生まれ、30歳。福岡県出身。184センチ、83キロ。右投げ右打ち。投手。折尾愛真高、富士大を経て16年度ドラフトで阪神から2位指名され入団。22年シーズン後に戦力外通告、オリックスと育成選手契約を結んだ。23年4月に支配下登録されたが、同年シーズン終了後に再び戦力外通告。24年10月に育成選手として再契約した。