【野球】なぜ?異例のキャンプスタート 2年連続5位のヤクルトが2勤1休 昨季大失速の広島は12球団最長の6勤

 プロ野球のキャンプが始まった。球界関係者には2月1日を「正月」と呼ぶ人もいるほど、大きな節目のひとつだ。3月28日の開幕に向けて各球団が一斉にスタートを切る中、広島が6勤、ヤクルトは2勤と対照的な第1クールの日程となった。

 2021、22年のセ・リーグ連覇から、2年連続5位に沈んだヤクルトは異例の2勤。第2クール以降も3勤、4勤、4勤、3勤、4勤と最長が4日連続稼働で、26日にキャンプを打ち上げる。

 阪神OBの中田良弘氏は「この日程に高津監督のどんな狙いが隠されているのか分からないけど、普通は去年の成績が悪いと、外野から何を言われるか分からないから、第1クール2勤という思い切った日程は組めないと思うんだよね。結果が出るのは秋になるんだけど、これで成績が悪ければ『やっぱキャンプの練習少なかったもんね』と言う声は出てくるだろうからね。ただ、個人的には強いチームがこの日程を組んだのなら理解できるけど、2年連続5位からはい上がろうとするチームにはもっと鍛える時間があってもいいように思うね」との私見を述べた。

 一方、昨年9月上旬の時点で首位に位置しながら、セ・リーグワーストタイとなる月間20敗を喫する歴史的急失速で優勝はおろかAクラス入りも逃し、4位に沈んでCS進出も逃した広島は、12球団最長となる第1クール6勤スタートとした。

 広島の場合、11日に日南キャンプを打ち上げ、12日に沖縄に移動するという事務的な都合もあるようだが、新井監督が1月31日のミーティングで「去年9月の悔しさは忘れてないし、みんなも忘れてないと思う。その悔しさを持ち続けて優勝、日本一に向かって明日から頑張ろう」と発言するなど、昨年の失敗や反省を生かし、取り返そうという意図が日程に透けて見える。

 中田氏は「元から猛練習という伝統のあるチームだけど、やっぱり去年の悔しさ、優勝を逃してしまったという同じ経験をしたくないがための6勤スタートなんじゃないかと見て取れるよね」と語った。

 中日監督時代の落合博満氏は「キャンプってのは、やり方さえ間違ってなけりゃ練習量はウソをつかない」と語り、キャンプ初日の紅白戦、6勤1休の日程を組むなどして、就任8年間でリーグ優勝4度、日本一1度、球団史上初のリーグ連覇を含む8年連続Aクラスの輝かしい成績を残してきた。

 とある時には「なんでヨソのチームはウチと同じように6勤にしないのかな?シーズンってのは基本的に火曜日から日曜日まで6日連続で試合があるんだろ。それに合わせて練習して、チームを作っていくのは普通の考えなんじゃないの。なんでやらないのかな」とも漏らすこともあった。

 落合監督と同学年であるDeNAの中畑清監督と高木豊ヘッドコーチが、就任初年度の2012年の宜野湾キャンプで6勤1休制を採用したが、惜しくも即効性は示さずに5年連続の最下位に終わるという結果にはなったが、当時の高木ヘッドコーチは「選手や我々の意識を変えることだけでも大きな変化だと思う」と語っていた。

 キャンプの過ごし方は重要だが、この1カ月だけで全ての方向性が決まってしまうというものでもない。中田氏は「キャンプも大事だけど、やっぱりその前のシーズンが終わってからのオフをどう過ごし、このキャンプでどう鍛え、その後もどう維持していけるかってところが、チームを強くする、弱くしてしまうっていうところにつながっていくんだと思う」と語った。

 量より質、質より量。質量ともに。考え方は多様で、どれが正解なのかはシーズンが終わってみなければ分からない。ただ、正解に近づくために、後悔しないために、選手達は体を鍛え、頭も使い、キャンプを過ごしていく。(デイリースポーツ・鈴木健一)

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