【ファイト】天龍源一郎氏が「WWEでも成功する」と太鼓判押す若手レスラーとは? 大横綱のDNA持つ身長2mの大器
元プロレスラーの天龍源一郎が、2日に75歳の誕生日を迎えた。1月31日に行われた「ジャイアント馬場没25年追善興行」では車いすに乗りながらも元気な姿を見せ、誕生日には天龍プロジェクトの自主興行で「まだ(天国の)三沢(光晴)やジャンボ(鶴田)のところには行かない」と宣言した。また、現在のプロレス界にも目を光らせ「あいつはWWEに行っても絶対に成功するよ」と、ある若手レスラーの名前を挙げてポテンシャルに太鼓判を押した。
「おい、納谷!」。馬場追善興行のセレモニー出席後、バックステージで取材を受けていた天龍がおもむろに名前を呼んだ。会場の爆音BGMにかすれ声はかき消され、呼ばれた巨大な背中は向こうへ消えていったが、大会に出ていたDDT所属の納谷幸男(30)だった。「あいつはね、スター(になれる逸材)だよ。絶対にWWEに行ったら成功するよ」。そう太鼓判を押し「もったいない。日本じゃ扱い切れないよ」と続けた。
父は大相撲の元関脇貴闘力で、祖父は昭和の大横綱である大鵬。弟の王鵬(大嶽)は現在幕内で活躍し、初場所では優勝争いを演じた。相撲一家の4兄弟で、長男の納谷だけは角界ではなくプロレスの道に進んだ。
名横綱のDNAを持ち、201センチ、120キロという規格外の巨体とともに、キックボクシングの経験もあり俊敏な動きもできる。初代タイガーマスクや秋山準といったトレーナーに師事し、スキルを磨いてきた。天龍は「(納谷の)マネジャーとして米国に行きたいよ。天龍プロジェクトでWWEにユニットをつくって、デカい奴ばかりで試合をやりたいよな。プロレスはこんなにすごいんだよって、お客さんにアピールしたい気持ちは今でもある」と色気をのぞかせた。
その姿はどこか60年前の面影に重なる。天龍が14歳で二所ノ関部屋に入門した時の大先輩が横綱大鵬で、付け人も務めた。思い出の一つといえば、いくらの醤油漬けご飯だ。大鵬さんの大好物だったが、付け人の天龍がこっそり目を盗んで食べてみたところ衝撃が走った。「いつも、いくらをこんな(大量に)ご飯にかけているから、マネして食ったら、こんなにうまいものがあるのかって」。今でも大好物のいくらの醤油漬けには、大横綱との思い出がある。「(納谷は大鵬さんと)なんとなく感じが似ているよね。おじいさんも優しくていい人だったけど、その感じがなんとなく出ているからうれしいよね」
米国マットでも活躍した恩師のジャイアント馬場さんのように、2メートルを超える体は持って生まれた才能だ。「ニューヨークに行って大鵬の孫がプロレスやっているっていったら、絶対に知っている人もいるし、間違いない。日本でやっているより、よっぽど彼が生きるし稼げるよ(笑)。もったいないよ、あんなにデカいのに。だからブッキングしてやりたいね。納谷の話は必ず天龍を通すように(笑)」。75歳になったミスタープロレスは冗談を交えながらも、名横綱のDNAに本気で夢を見ていた。(デイリースポーツ・藤川資野)
◇納谷幸男(なや・ゆきお)1994年8月17日、東京都江東区出身。祖父は大相撲の元横綱大鵬。元関脇貴闘力の長男として生まれ、弟で次男は三段目の納谷、三男は平幕の王鵬、四男は幕下の夢道鵬という相撲一家。自身はキックボクシングを経て、初代タイガーマスクの佐山聡の下でプロレスに入門し、17年9月にリアルジャパンでデビュー。19年6月にDDT移籍した。得意技はバックドロップ、拷問式コブラツイスト。タイトル歴はKO-D8人タッグ。201センチ、120キロ。