【野球】広島・ドラ2佐藤柳はなぜ打たれないのか 開幕ローテ入りへ期待大の左腕
広島のドラフト2位・佐藤柳之介投手(22)=富士大=が猛アピールを続けている。対外試合初登板初先発となった19日のロッテとの練習試合は2回1安打無失点の好投。開幕ローテ入りが期待される左腕は、なぜ打たれないのか-。その要因に迫った。
レモンカラーのグラブが沖縄のマウンドに映える。佐藤柳が安定した投球でアピールを続けている。右手を高々と上げる独特の投球フォームが特徴で、ゲームメーク能力にたけた左腕だ。
今キャンプでは対打者での投球で、ほとんど安打を許していない。6日のライブBPでは打者5人に対し、安打性は1本。10日のシート打撃では打者6人を完封。14日のシートでも打者9人を相手に安打性1本。対外試合デビューとなった19日のロッテとの練習試合でも2回1安打無失点と、無双が止まらない。
打たれない要因は大きく三つある。まずは14日のシート打撃後、新井監督は投球フォームについて言及した。「(対戦した)アキ(秋山)に聞いても『見えづらさはあります』と。後ろが小さくて、(左手が)隠れて隠れて最後にバッとくる」。ゆったりとしたフォームから放たれるキレのあるボール。そのギャップで打者を手玉に取っている。
最速148キロの直球についても大きな特徴がある。飯田スコアラーは左腕の直球について「左投手はシュート回転になりがちなんですが、彼の直球は縦にきれいに回転している」と分析する。その結果、「ベース上でも(球が)強くきてます」と、打者の予想を上回る威力でファウルを打たせ、カウントを有利に進めている。
投げる度に光るのが左腕のクレバーさ。菊地原投手コーチは「マウンド上での冷静さがある。打者を見ながら間合いを変えたりしている」と評価。10日の紅白戦を視察したDeNAの新沼プロスカウトも「足を上げてから、毎球タイミングをずらしていた。あれをされたら厄介」と警戒心を高めている。
すでに結果を残しているが、本人は満足していない。日南キャンプでは、黒田球団アドバイザーからスプリットの投げ方を教わり、現在も改良中。19日の試合で試投したが「1球も投げ切れたボールはなかった。まだ微調整をしている段階。こういう失敗があってもいい」と収穫と課題を得た。まだまだ発展途上のルーキー左腕。この先、対策を練ってくる他球団に対し、どこまで通用するのか注目だ。(デイリースポーツ・高橋涼太朗)
◇佐藤 柳之介(さとう・りゅうのすけ)2002年11月1日生まれ、22歳。宮城県出身。179センチ、87キロ。左投げ左打ち。投手。東陵高、富士大を経て、24年度ドラフトで広島から2位指名。大学4年秋の北東北リーグで2度目の最優秀投手となり、リーグ優勝に貢献しMVPも受賞。最速148キロの直球は回転数が多くキレがいい。変化球も多彩。