【サッカー】なでしこ 史上初の外国人監督が早速フィットしたワケ DF北川「メンタル面へのサポートが大きい」

 なでしこジャパンのニールセン監督
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 サッカー女子日本代表「なでしこジャパン」は、2月に米国で開催されたシービリーブスカップで、PK勝利を除き13年ぶりに米国戦勝利を挙げるなど、3戦全勝で初優勝を飾った。デンマーク出身のニルス・ニールセン新監督(53)が初陣で最高の結果を残し、手腕を証明。選手からも前向きな声が上がっている。「なでしこジャパン」史上初となる外国人監督がなぜ、早速フィットできたのか。11年女子W杯ドイツ大会優勝監督で、日本サッカー協会(JFA)の佐々木則夫女子委員長(66)が、その理由を明かした。

 新監督の就任会見から、ニールセン氏の人間性を高く評価していた佐々木委員長。実際に団長として同杯に帯同してまもなく、同氏のある行動に驚かされたという。「監督が今までの選手たちの技量、戦略、試合内容を非常に褒める。褒めちぎるっていうんですかね」。日本の指導者からはなかなか見られない光景に目を奪われた。「僕は褒めるまでに3、4年かかりましたからね」と思わず笑みをこぼした。

 積極的に褒めることで選手に自信を持たせ、攻守でアグレッシブなプレースタイルを体現。加えて「Be Brave!」(勇敢であれ)をキーワードに、失敗を恐れずに挑戦することを促し、のびのびと選手をプレーさせた。同杯全3試合にスタメン出場したDF北川ひかるは「監督のメンタル面へのサポートが大きいと感じる。個人的にもモチベーションが上がる会話をさせていただいた」とうなずいた。

 ニールセン新監督が選手を褒めちぎる背景には、海外出身ならではの理由がある。佐々木委員長は「W杯とかで日本のサッカーは、海外からの評価が非常に高いんです。FIFAの方も含めて」と話し、国内とのギャップを指摘。国内ではどうしても、W杯で優勝した過去と比較され、内容より結果が判断基準となるケースが多かった。「そんな中、海外の目線から褒められることは、すごく新鮮で気持ち良い雰囲気になった感じがあると思う」と推測した。

 また、2007年から約10年間、代表監督を務めた佐々木委員長だからこそ、選手を褒めちぎるスキルは魅力的に映ったという。「俺が同じように褒めても、全然反応ないと思いますよ。僕も褒めたいと思うけど、なんか妙だよね…。実際に無理してるなと、(心を)読まれたり」と苦笑し頭をひねる。「やっぱり褒め方のポテンシャル、ボキャブラリーとかは、われわれ以上に非常に質が高い」と選手との絶妙な距離感を絶賛した。

 目標に掲げる世界一奪還へ、最高のスタートを切ったニールセン新監督。JFAの公式YouTubeチャンネルに投稿されている代表密着動画シリーズ「Team Cam」では、同杯での動画が、昨年のパリ五輪のものよりも平均視聴回数が多かった。佐々木委員長は「それだけ新たな可能性を感じてくれている」と目を細める。次戦は4月6日の国際親善試合・コロンビア戦(ヨドコウ)。新生なでしこが国内でベールを脱ぐ。(デイリースポーツ・松田和城)

 ◆ニルス・ニールセン 1971年11月3日生まれ、デンマーク出身。背中のケガでサッカー選手の夢を諦め、指導者の道へ進む。93年にデンマーク1部のオーデンセBKのU-17男子監督でキャリアをスタート。13年からデンマーク女子代表監督を務めた。17年には欧州選手権で準優勝に導き退任。18年からスイス女子代表監督を務め、22年には23年W杯出場権獲得に導いた。

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