【野球】大型補強に成功しても巨人・阿部監督が進める選手層の底上げへの取り組みとは? 若手に植え付けた意識改革
リーグ連覇と13年ぶりの日本一を目指し、さらなる進化を図る阿部巨人。オフの大型補強の一方で、悲願達成への鍵を握るのは若手選手の台頭によるチーム力の強化だ。阿部慎之助監督(45)は、いかにして主力と若手の競争を促し、選手層の底上げへ努めているのか。春季キャンプからの取り組みを振り返った。
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オープン戦も終盤に差しかかる中、阿部監督が植え付けた若手の意識改革は、少しずつだが芽吹きの気配を見せている。
1月のスタッフ会議。阿部監督は今年のテーマに“気づき”を掲げ「気づきがない人は成長がないと考えていて。周りを見ていろんなことに気づけるか。そこら辺にボールが落ちていても拾わない。踏んで捻挫するんじゃないか?そういう気づきもない」と話した。
求めるものは、いわゆる観察眼、洞察力といったところか。実に捕手出身らしい要求だ。一方で、キャンプからオープン戦でプレーに関する若手への要望や、1軍で定位置を得るための道筋をシンプルで分かりやすく示したのも印象的だった。
例えば投手陣は昨年同様にローテ争いから漏れた投手は1軍のロングリリーフ要員へ、それ以外は2軍のローテで回る。2軍の先発で結果を残しても一足跳びに1軍での先発とはならず「(順列を)ハッキリさせておいた方が分かりやすい」と説明した。野手で重視したのは「守備力」だ。
し烈なローテ争いを繰り広げている投手陣に比べれば、野手陣で若手が主力の牙城を崩すのは至難の業。特に外野は丸とヘルナンデス、キャベッジの両外国人でポジションが埋まる。ベテランの長野も控えており、若手の出場機会は限られる。
「守備固めしかチャンスはないでしょう。重要なのは守備ができるかどうか」。キャンプ中、阿部監督は自らノックバットを握って秋広や浅野の特守を行った。「守備」への意識を持たなければレギュラーへの一歩目もない。同時に「守備から行って1打席が回って来るか、来ないか」とオープン戦序盤ではファーストストライクを振っていく指示も出していた。
気づきで選手の“奥行き”を求めながらも、若手選手へ1軍に必要な道筋をシンプルな形で明確化することは、迷いなく目標へ向かうための指揮官の配慮だとも感じる。
15日からのドジャース、カブスとのオープン戦でベストメンバーを組むと明言する阿部監督。若手に残された時間は多くない。浅野、秋広はアピール不足が否めないが、キャンプ1軍スタートのドラフト3位・荒巻(上武大)が食らいついているのは頼もしい。
また、守備力のあるオコエは結果を残し、侍ジャパン・井端監督も注目した5年目の中山も良いアピールを続ける。現時点で主力を脅かすには至らないが、一歩ずつでも阿部監督の意識改革が進めば、日本一奪回を目指すためのぶ厚い選手層の構築も期待できそうだ。(デイリースポーツ・中田康博)
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