カメラマンは見た ヤクルト・西浦直亨の決勝弾をもたらした前夜のフルスイング
ずっと降り続いていた雨が止んだ21日の試合後。次の日に向けた整備が行われる中で、一人の選手が姿を見せた。ヤクルト・西浦直亨内野手だ。
7番・遊撃で開幕スタメンをつかんだものの、打撃の調子が上がらず21日の試合前まで打率・208と低迷。スタメンから外れる試合も増えていた。DeNAに逆転負けを喫したこの日もルーキー・元山が先発出場し、西浦は出場機会すらなかった。
観客のいないスタンド。ナイター照明も落とされ、静けさが漂うバッターボックスに立つ。西浦はまるで投手と対戦しているかのように、一球、二球と見送り、そしてフルスイング。いいイメージがつかめたのだろうか、最後はグラウンド整備のスタッフに笑顔を見せて帰って行った。
翌日8番・遊撃で先発出場した西浦は、3回の第1打席でレフトスタンドに2号ソロをたたき込んだ。もしかしたら前夜のあのスイングが最高の結果をもたらしたのかもしれない。このホームランが決勝点となり、チームは連敗ストップ。試合後、好投した小川泰弘とともにフォトセッションに応じた西浦の表情は充実感に満ちていた。
(写真と文・デイリースポーツ 伊藤笙子)