勝利への執念を燃やすロッテ・高部瑛斗がナインを奮い立たせるダイビング!
ナインを鼓舞するプレーだった。打球に飛びつき左手を負傷、途中交代したロッテ・高部瑛斗外野手(26)だ。
8日の楽天戦(ZOZOマリンスタジアム)の五回1死二塁、快音を残した辰己の打球が左中間へ飛んだ。私は望遠レンズで打球を追った。グングン伸びる白球。すると、センターから快足を飛ばしてダイビングする中堅手の姿が画角に飛び込んできた。一瞬、キャッチしたかと思ったが、無情にもボールはグラブをかすめて落ちた。グラウンドに転倒し、グラブが外れた左手を抱え込む高部の姿が見えた。キャッチしていれば、同点の中越え適時二塁打を阻む超ファインプレーだった。そして左手を痛めなくても済んだかもしれない。一回無死一塁から小深田の中飛をダイビングキャッチ。ボールを捕球したグラブから着地し、回転レシーブのように一回転して立ち上がった、五回もキャッチできていたら、グラブを起点にうまく回転できていたかもしれない。
高部に心配そうにつきそう左翼手のベテラン角中の姿が印象的だったが、けがをも恐れぬダイビングに、鼓舞されたナインは少なくなかっただろう。その裏の攻撃で先頭の中村が中越え二塁打を放つと、1死三塁から藤原が同点の右前適時打、1死満塁からソトが勝ち越しの左前2点適時打を放ち、5回7安打3失点で降板した先発の佐々木朗希を援護。さらに終盤、高部と交代した愛斗が左前適時打、ソトが右越え2ランを放って貴重な追加点を奪うと、六回以降は投手陣が踏ん張り、1・5差に迫った楽天の連勝を2で止めた。
左手の痛みに耐えながら歩いてベンチへ引き揚げた高部。戦列離脱となればチームにとっても大きな痛手となるが、勝利への執念を感じさせるダイビングは、し烈なCS争いをするチームを奮い立たせたにちがいない。(デイリースポーツ・開出牧)