天龍源一郎の小脳梗塞…滑舌&しゃがれ声には関係なし?医師が説明

 「町医者の独り言=51=」

 元プロレスラーの天龍源一郎(69)が小脳梗塞を発症していたことが発表された。3度の入院を経て完治はしていないものの症状は安定しており、独特の滑舌やしゃがれ声はこの症状とは関係ないという。小脳梗塞とはどんな病気なのか。兵庫県伊丹市の「たにみつ内科」で日々診察にあたっている谷光利昭院長に聞いた。

  ◇   ◇

 天龍さんは、小脳梗塞で入院されていたのですね。小脳は後頭部にある小さい脳で、四肢、体幹の調節、平衡感覚、眼球運動の調節に携わっています。また、運動の記憶、学習などにも携わっています。例えば、自転車に乗れるようになるには大脳などによる言葉による学習ではなく、体で覚える小脳による学習が必要となります。

 小脳梗塞の危険因子としては、高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満、喫煙、大量飲酒などがあります。症状は、めまい、悪心、嘔吐、構音障害、歩行障害など。めまい、悪心はよく見られる症状でもあり、良性発作性頭位めまい症、前庭神経炎などの病気との鑑別が大切になってきます。

 症状が重篤でなければ、内科的治療で経過観察されますが、脳が圧迫されたり、意識障害が出現したときには外科的治療が行われることがあります。前述した命に関わらないめまいとの鑑別が重要なので、小脳に障害を来したときの具体的な症状をいくつか挙げます。

 有名な所見は、酔っ払いのように体を揺らしながら歩く酩酊歩行です。体のバランスがうまく保てないために出現します。症状がひどくなればじっと立つことも座ることもできなくなります。

 話すときに必要な筋肉の調整がうまくできないために、酔ったときのように途切れ途切れで少しずつ話すという症状を認めます。話すときの声の大きさも調節できないために、声が小さくなったり急に大声になったりします。しかしながら、発表によると、天龍さんのお声と滑舌は今回の病気とは関係ないようですね。

 動作の際に距離の判断がうまくできないために、物を掴もうとしても、実際の距離よりも長い距離を動かしてしまったり、目標に向かって指を動かす際に直線で動かすことができずに蛇行してしまうという状態を認めます。

 いつもめまいを起こす人でも上記のような症状が出現した際には、速やかに救急車を呼ぶか脳外科の病院で検査をしてもらい適切な治療を受けることが大切です。

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