【松本浩彦医師】「血液型O型は蚊に刺されやすい」どうも信ぴょう性はあるようです

 私はO型で、他の家族はみなA型ですが、いつも私だけ蚊に刺されます。私みたいな老人より若い子供たちの血の方が美味しかろうに、蚊は私を集中攻撃します。巷で言われる「O型の人は蚊に刺されやすい」という噂、文献的に考察してみたいと思います。

 メスのハマダラカを20匹入れた箱に4つの血液型の被験者の腕を入れ、十分間に何カ所刺されたかを検討した論文があります。その結果、O型の人は5000カ所刺されたのに対し、非O型の人は3500カ所しか刺されませんでした、ハマダラカはO型を好んで刺す傾向があると結論づけています。

 蚊が媒介するマラリアという病気がありますが、これについてインドのデリーでマラリア患者700人あまりを調べると、A型の患者が多く、O型の患者は少なかったそうです。蚊はO型の人を刺したがるのに,マラリア患者にO型が少ないのはなぜなんでしょう。

 ジンバブエで500人のマラリア患者を調べたところ、重症例はO型に少なく、O型でない患者は重症化する傾向が強いことがわかりました。同様の報告は他にもあり、O型はどうやらマラリアに抵抗性があるようです。

 ABO血液型の分布は、地域・民族により異なりますが、マラリアがはびこる赤道アフリカ・アマゾン川流域・東南アジアなどはO型の血液型の人が多く,マラリアによって非O型の血液型は淘汰されたのではないかという説もあります。マラリア流行地帯には、全員O型という地域もあります。

 ただ、これらはすべて疫学的研究であり、O型は蚊に刺されやすくマラリアに抵抗性がある、と結論づけることはできませんが、少なくともO型の人が蚊に刺されやすいという説は信ぴょう性があるようです。

◆松本浩彦(まつもと・ひろひこ)芦屋市・松本クリニック院長。内科・外科をはじめ「ホーム・ドクター」家庭の総合医を実践している。同志社大学客員教授、日本臍帯プラセンタ学会会長。

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