涙を流しながら卵を産むウミガメの母親…実は「産みの苦しみ」じゃなかった? ペンギンの首プルプルも 意外な理由

 ウミガメが深夜、浜辺に上がってきて卵を産む映像、テレビでご覧になった方も多いと思います。感動的ですよね。ところでその時、お母さんウミガメが涙を流すシーン、目に焼き付いていませんか。あれも感動的ですが、今回はちょっとそれに水を差すお話です。

 ウミガメは海中でエサを食べるとき、海水も一緒に飲んでしまうので身体の塩分濃度が上がります。塩分濃度が上がると生体活動に支障をきたすため、目がしらにある「塩類腺」という器官から、濃縮した塩水を外に出して、身体の塩分濃度を下げているのです。それが涙のように見えるているだけで「産みの苦しみ」というわけではありません。

 実はこれと同じ行動がもう一つあります。水族館などで実際に見られた方も多いと思いますが、ペンギンが頭をブルブルと左右に振る仕草。これまた見ていて可愛いですよね。実はこれもウミガメと同じく、鼻から塩水を飛ばし、塩分濃度を下げるための行動なのです。

 海の魚を捕獲してエサにしているペンギンは、ウミガメとおなじで一緒に海水を飲んでしまうので、余分な塩分を捨てる必要があります。ペンギンの場合、「塩類腺」は目の上にあります。そこから濃縮した塩分を鼻から出し、くちばしの先にたまった濃い塩分を振り払うので、頭を振るような動作をするようです。

 ところが、淡水で飼われている水族館のペンギンも、なぜか首を左右に振る「塩分飛ばし」の行動をやめないそうです。そのため逆に塩分濃度が下がって身体に良くないので、水族館ではエサのイワシなどに塩を塗り込んで与えています。ウミガメの感動的とも言える涙も、ペンギンの首を振る可愛い仕草も、厳しい自然界を生きる手段なのです。

◆松本 浩彦 芦屋市・松本クリニック院長。内科・外科をはじめ「ホーム・ドクター」家庭の総合医を実践している。同志社大学客員教授、日本臍帯プラセンタ学会会長。

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