日本はエクモ治療による救命率78%、世界トップレベルの水準だが…コロナ禍1年半、弱毒化を祈るばかり

 もう1年半になりますが、コロナ禍は続いています。検査体制も整い検査数が増えている影響で当院でもコロナ陽性の患者さんがたくさんいらっしゃいます。しかしながら、私の知る限りで重症化した患者さんはお一人しかおられません。多くの方が軽症です。

 重症化された患者さんは90歳の男性です。狭心症で、心臓を栄養している血管に網目状の管を入れて広げる治療を施行されていました。残念ですが、コロナ罹患後に永眠されたことをご家族からお伺いしました。

 当院のコロナの患者の年齢層は比較的若く、多くは40代までです。来院時に重篤感はありません。新型コロナ第4波では、人工呼吸器から体外式膜型人工肺(ECMO=エクモ)への移行は第1波の3分の1以下に低下していると報告されています。

 人工呼吸器からECMOへの移行率は、第1波で23・2%、第2波で11・1%、第3波で8・3%、第4波で7・6%です。重症例への効果的な対応が確立されたと報告されていますが、ECMOを要する患者の若年化が危惧されています。

 わが国のECMO治療による救命率は78%。欧州で54%、北米が46%で、比べると極めて高い救命率です。間違いなく世界トップレベルの水準です。一方で第4波では重症患者が急増し、ECMOを必要とする患者が第3波のときは630例だったのに対し、第4波では759例と上昇しました。今回の第5波でも感染者数からすると、その数は増えているかもしれません。

 また、現在、使用しているワクチンが変異を続けるコロナウィルスに対し効果が乏しくなる可能性があるとも言われています。ただ、ウィルスは感染により宿主(人間)を滅ぼすことはないという説もあります。共存するためには、感染力は強くなっても弱毒化するということです。そうなることを祈るばかりです。

◆谷光 利昭 兵庫県伊丹市・たにみつ内科院長。外科医時代を経て、06年に同医院開院。診察は内科、外科、胃腸科、肛門科など。

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