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寝起きのお口、放置は口臭の原因 歯磨きは「朝食後」ではなく「朝イチ」で 歯科医ピン芸人

 歯にまつわる、あれやこれやをネタをまじえて、分かりやすく教えてくれる吉本所属の歯科医芸人”パンヂー陳”こと、陳明裕さん。実は何回かR-1グランプリにも出場していますが、歯科医としての腕はかなりだそう。幅広く勉強もしています。今回は歯磨きや歯磨き粉についてファラオの時代から語ってくれました。(聞き手・山本智行)

--10月8日は“入れ歯の日”のネタ、まあまあ受けたみたいですよ。僕なんか、さんざん怖がらされましたから帰りに、えらい高い歯磨き粉を衝動買いしてまいました。ところで、陳さんはどんな歯磨き粉、使ってはるんですか?

陳歯科医:僕は歯磨き粉にこだわりはない派ですね。家だとテレビ見ながら歯磨きしたりしますので、そんな時は歯磨き粉は使わないですね。歯磨き粉には発泡剤が入ってて、すぐに口の中がアワアワになっちゃう物が多いので、もし歯磨き粉付けて長い時間磨きたいなら発泡剤が入ってないのが良いですね。

--歯磨き粉に八宝菜は入ってないでしょ。うずら卵とかキクラゲとか入ってたら邪魔になって磨けませんから。

陳歯科医:ハッポウザイです。もう、耳まで遠くなったんですか。人がまじめな話してる時に、そんな小ボケは入れんでいいですから!

--しかし、まぁ、テレビ見ながら歯磨きって、歯医者さんやのに食べたらすぐに磨かないんですか?

陳歯科医:実は歯みがきに適しているのは食後ではないんです。唾液には免疫グロブリンやリゾチームなどが含まれているのと、自浄作用といって洗い流す作用があるため、唾液がたくさん出ると細菌を減らすことができるんです。唾液はある意味、口の中の細菌をコントロールしているんですが、口も消化器官の一つなので食事中は唾液中のアミラーゼがでんぷんを分解して消化を助けます。食後すぐは、消化を助けるために唾液が大量に分泌されています。そんな時に歯みがきをすると、唾液の分泌を抑えてしまいます。

 その上、食べてすぐは、食べ物中の酸などで歯の表面が脱灰されていたりして、脆くなっていたりもします。それを緩衝作用で酸を中和させたり自浄作用で洗い流したり、唾液内のカルシウムやリンなどの成分で徐々に再石灰化されたりしているのに、そんな時に歯ブラシと歯磨き粉内に含まれる研磨剤でゴシゴシしたりすると、元に戻らなくなることもあります。

--ようしゃべりましたね。まるで歯医者さんみたい。でも、私の子供の頃は、食べたらすぐ磨こう!って習った気がしますが…。

陳歯科医:あの、かわいかった山本少年が、こんなオッサンに変わり果ててしまう様に、その時々で常識だって変わるものです。

--ホンマ、感じ悪い例えやな。しかし、そんなん知らんもんやから今朝も朝飯食べてからすぐに磨いてしもたがな。

陳歯科医:ええっ?アナタ、いつも朝起きて、歯磨きもせんと朝飯食ってから磨きはるんですか?そもそも1日で最も唾液分泌が少ないのは就寝中なんですよ。つまり1日で一番、口腔内細菌が多くなるんです。一説には寝てる間に口腔内細菌は5~10倍に増えるとも言われています。だからこそ、朝起きたらすぐに歯みがきをして、口の中にたまった細菌を洗い流さないと不潔だし口臭の原因にもなりますし。

■歯磨き粉、紀元前1500年頃にはあった?

--という事は、白雪姫なんか、いくら世界で一番美しい女性とはいえ、毒リンゴを食べてからずーっと眠り続けてたわけですから、お口の中の細菌はかなり繁殖して、口臭も酷かったでしょうに。よくもあの王子様、キスできたなって感心しますね。

陳歯科医:あれは、おとぎ話の世界ですからね。実際の世界だったら、あのシーン、たとえ王子様でも準強制わいせつ罪に問われますからね。

 さて、話を戻すと、つまり朝食後に歯磨きしたのでは寝てる間に口の中で増殖した細菌を全部のみ込んでしまうんですよ。ちなみに起床時の唾液1cc中に含まれる細菌の数は、ウンチ1グラムに含まれる10倍とも言われてるんですよ。

--またまた。そんなに~。じゃ、歯垢の方がウンチより汚いんですか?

陳歯科医:汚いの定義によりますが、細菌数で言えばそうかも知れませんね。なんせ、歯垢1mg中の細菌数は約10億といわれていますから。

--きょうの昼飯、カレー行こうと思ってるのに、ウンチの話なんかせんといてくださいよ。

陳歯科医:ウンチの話のついでにウンチクを一つ。カレーと言えばインドですが、インドでは牛は神聖な生き物とされています。そのため牛のウンチも神聖なので、医薬品のほか、その粉末を配合したシャンプーや石けん、線香など、さまざまな製品が作られる中、ナナナント歯磨き粉まで作られているそうです。ウンチだけじゃなく、牛の尿を使ったソフトドリンクまであるそうです。まさに聖水飲料!インドに行かれたらぜひ、買ってみてください。

--さすがに、そっちの聖水は飲みたくないです。

陳歯科医:尿でいえば、古代ローマではポルトガル人の尿が歯を白くすると信じられており、お金を払ってまで尿を買って歯磨き粉として使っていたみたいです。

 でも、これ、歯医者として一応、科学的根拠があるように感じます。なぜなら尿に含まれる尿素には歯を白くする働きがあり、尿による歯磨きは18世紀頃まで行われていたそうです。ちなみに、現在歯科医院で行われている歯のホワイトニングの多くは、過酸化尿素を漂白エージェントに使用しています。

 その後、帝政ローマ時代になると、動物の骨や卵殻の灰を歯磨き粉として使用していたそうです。

--歯磨き粉って、いつごろから使ってたんでしょうね?

陳歯科医:古代エジプトの医学にまつわる記録で有名なエーベルス・パピルスにも歯みがき粉の記録があるそうですから、すでに紀元前1500年頃にはあったようですね。芳香剤として乳香、研磨剤として緑粘土や火打ち石の粉末、粘結剤と味付けを兼ねて蜂蜜、殺菌作用を期待して緑青といった具合に、現在の歯磨剤のように、それぞれの成分にちゃんと役割が認められます。ローマ人は新庄さんや松崎しげるさんのような白い歯を好んでいたようですね。

--日本のお歯黒と逆ですね。

陳歯科医:いいこと、聞いてくれますね。お歯黒は江戸時代には既婚者の証としてレディのたしなみだったようですが、主成分にタンニンが含まれているので虫歯予防効果もあったんですよ。

--私、前世がローマ人やったのか、やっぱり女性の歯は白い方が良いです。いくら虫歯予防効果があっても、歯が真っ黒やったら虫歯になっているかどうかすら分からないですし。うちの家内も黒いのは腹だけで良かったです。

陳歯科医:いや、そっちも良くないでしょ!

(まいどなニュース特約・山本 智行)

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