旧暦に基づく七草がゆの風習 スーパーに並ぶ現代の「春の七草」は温室栽培です 

 以前もご紹介しましたが、よく考えると「七草がゆ」を食べるのは1月7日の夜ですね。「せり・なずな・おぎょう・はこべら・ほとけのざ・すずな・すずしろ・これぞななくさ」これが春の七草です。

 旧暦ではお正月は「新春」つまり春になります。新しい年を祝い、正月気分がまだ残っている1月7日は「人日(じんじつ)の節句」と呼ばれ、「七草がゆ」を食べて邪気を祓(はら)い、1年の無病息災と五穀豊穣を祈る風習があったそうですが、正月に飲みすぎて傷んだ胃を休めるため、というのが史実のようです。

 セリ科の芹(せり)は香りが強くおひたしなどに向き、関東ではスキヤキの定番具材です。アブラナ科の薺(なずな)の別名はペンペングサ。昔は冬の貴重な野菜でした。御形(おぎょう)は別名ハハコグサ(母子草)と呼ばれるキク科の草です。草餅はヨモギが一般的ですが、昔は御形を使っていたそうです。

 繁縷(はこべら)はハコベとも言い、いまでも河川敷に行けば普通に群生しています。おひたしにしたり、小鳥に餌として食べさせる、ナデシコ科の草です。仏の座(ほとけのざ)はコオニタビラコ(小鬼田平子)とも呼ばれ、キク科の黄色い花をつけます。現在ホトケノザと呼ばれているものはシソ科の草で別種になりますが、こちらはマズくて食べられません。菘(すずな)はアブラナ科でカブ(蕪)の葉っぱ。蘿蔔(すずしろ)は大根の葉っぱで、これもアブラナ科です。

 旧暦の話なので、今でいうと2月ごろに行われていた行事ですから、この時期に七草を集めるのは少し早すぎて無理です。明日にでもスーパーに行けば、温室栽培の「春の七草」がセットで、パックに詰められて並んでいるはずです。

◆松本 浩彦 芦屋市・松本クリニック院長。内科・外科をはじめ「ホーム・ドクター」家庭の総合医を実践している。同志社大学客員教授、日本臍帯プラセンタ学会会長。

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