発疹がないのに、かゆい? それはもしかして「皮膚掻痒症」かも…内臓疾患には要注意

 汗ばむ季節の到来。同時に、汗による肌の「かゆみ」を訴える人が増えてくる時期でもあります。実は、かゆみを伴う皮膚疾患は赤くなるなどの発疹で分かることが多いものです。しかし、中には皮膚表面に湿疹など目立った異常がないのにもかかわらず、全身、あるいは頭部や陰部など部分的にかゆくなる人もいます。それは、もしかすると「皮膚掻痒症(ひふそうようしょう)」かもしれません。

■かゆみの原因を知ることが重要 内臓疾患には要注意

 皮膚掻痒症とは、発疹がないのにかゆみだけがある疾患をいいます。症状は文字通り、かゆみです。持続的にかゆい場合と、発作的にかゆみが出る場合があります。人によっては入浴後にかゆみが出やすかったり、かゆみのために眠れないことがあったり。男女関係なく、どの世代でも発症している疾患なので、注意が必要です。

 原因で多いのが皮膚の乾燥「ドライスキン」です。ドライスキンは表皮角質層の水分が失われると皮膚本来のバリア機能が低下して、皮膚が乾いた状態になります。その結果、皮膚のかゆみをはじめ、手荒れや肌荒れなどの症状を引き起こします。

 皮膚の老化によるかゆみも少なくありません。こちらは「老人性皮膚掻痒症」と呼ばれています。また、妊婦に同様の症状が見られることがあり、こちらは「妊婦性掻痒症」です。この他に食事や薬剤などで起こることもあります。

 また、慢性腎不全や肝障害、糖尿病、血液や甲状腺の病気、がん、便秘、痔などさまざまな内臓疾患によって引き起こされている場合もあります。

■治療法は?日常生活での注意点は?

 かゆみの原因となっている基礎疾患があれば、その治療が最優先となります。皮膚掻痒症の治療には、かゆみを軽減する薬として抗ヒスタミン薬などの内服と保湿剤などが用いられます。皮膚が乾燥している時には保湿剤を塗ります。

 また、日常生活の中でもかゆみを誘発することが少なくありません。たとえば、以下には注意してください。

【汗】暑い季節は汗に要注意です。汗を放置すると、皮膚が刺激され、かゆみを誘発しやすくなります。

【湿度】室内の湿度に注意しましょう。特に乾燥肌の人は室内が乾燥しすぎないように注意してください。

【入浴】熱すぎるお湯は皮膚を刺激しやすく、ナイロンタオルやスポンジなどで洗い過ぎると皮膚が傷つきやすく、同時にかゆみが誘発されることがあります。

【衣類】静電気を起こしやすい服やチクチクするなど皮膚に刺激のある服などは要注意です。

【洗濯】衣類に洗剤が残っていると皮膚を刺激してかゆみのもとになりやすいので注意してください。

【食品】熱い食べ物や刺激の強い香辛を使った料理などは、かゆみを引き起こしやすくなります。

 かゆみが気になれば、早めに皮膚科や皮膚泌尿器科など専門医に診てもらいましょう。

◆尾原 徹司 東京医科大学卒業。東京女子医科大学消化器病センターを経て、神戸鐘紡病院消化器科に赴任。昭和57(1982)年に独立し、医療法人社団つかさ会「尾原病院」(神戸市須磨区妙法寺荒打/神戸市営地下鉄西神山手線妙法寺駅徒歩3分)院長に。

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