先月クリニックの拡張工事を行いました。目的は発熱外来専用の部屋と内視鏡室を作ることです。このたび大腸カメラを新たに始めましたので内視鏡専用室を作りました。当クリニックの大きな使命としては咳や息切れなど呼吸器疾患の診療と、腹痛などの消化器疾患の診療、それから早期がんの発見だと考えています。

　これで早期の肺がん、食道、胃、十二指腸、大腸がんをみつけるツールがすべて揃ったことになります（ＣＴ、胃、大腸カメラ）。ただ、保険診療下では闇雲に検査をするわけにはいきません。喫煙歴やがんの既往、がん家系かどうか等を聴取し、ハイリスクで症状のある方に対してこれらの検査が可能となります。

　ハイリスクでも症状がなければ保険適用で検査は行いにくく、症状が出てからだと進行がんになっているかもしれないというジレンマがあります。そこで良い方法はないかと探していたところ、尿検査だけで７種類のがんを早期から発見できる可能性のある検査を見つけました。

　マイシグナルと言う検査で、腫瘍マーカーよりもかなりの高精度でがんの存在を推定できるため、このたび導入しました。保険適用外なので自費検査となり、数万円かかります。保険収載申請中との事ですので期待して待ちたいと思いますが、がんハイリスクの方は試されてはいかがでしょうか。

　私も興味から試してみようと思うのですが、がんが見つかったら嫌だなぁと言う気持ちもあり踏み切れていません。がん専門医のくせにこの時点では一患者になってしまい、患者さんの心理がよくわかります。高いお金を払って嫌な事は聞きたくないですよね。頭では早期発見の重要性をわかっていても…。

　◆西岡清訓（にしおか・きよのり）兵庫県尼崎市の「にしおか内科クリニック」院長。呼吸器、消化器疾患を中心に一般内科診療などを行っている。