キノコを食べると認知症予防できるかも!食物繊維、抗酸化物質が豊富 認知機能障害リスクの低下と関連?

 キノコは食物繊維や抗酸化物質が豊富に含まれる食材です。キノコの食事摂取と認知症リスクの関連はこれまで不明でしたが、筑波大学の研究で、日本人女性において、キノコの食事摂取が認知機能障害リスクの低下と関連していることが示唆されました。「示唆」というのは「どうやらそうみたい」と解釈してください。

 日本のある地域の住民、4000人弱を約16年にわたって経過観察したところ、そのうち700人弱が障害を伴う認知症を発症した。その人たちを含む4000人の長年の食生活を詳細に検討した結果、女性において、キノコの摂取と認知症リスクに逆相関が見られた。つまりキノコをたくさん食べていた女性は、認知症になりにくかった、というものです。

 女性において、キノコの摂取量を1日15グラムを境界として、それ以上と以下の人の、その後の認知症発症率を検討した研究で、これ、非常にややこしいのですが、ざっくり言うと、キノコを毎日15グラム以上食べていた女性は、それ以下だった女性に比べて、認知症になった人が3割ほど少なかった、ということです。ざっくりですよ、ざっくり。また男性では、キノコの摂取と認知症リスクとの関連は認められなかったそうです。

 ただ、この統計では脳卒中(脳出血・脳梗塞)の既往とか、認知症の原因となる病気にかかった場合を除いています。男性の方が喫煙や飲酒という習慣から脳卒中になる割合も高く、そのような統計解析に影響を与える条件(バイアス)を除くと、わたしは男女関わりなく「キノコを多く食べる人は認知症になりにくい」と言い切っても良いのではないかと思います。だからといって「食べ過ぎ」はダメです。たくさん食べようとして、誤って毒キノコを食べてしまっては元も子もありません。出典:Aoki S, et al. Br J Nutr. 2024 Jan 19. [Epub ahead of print]

 ◆松本浩彦(まつもと・ひろひこ)芦屋市・松本クリニック院長。内科・外科をはじめ「ホーム・ドクター」家庭の総合医を実践している。同志社大学客員教授、日本臍帯プラセンタ学会会長。

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