【にしたん社長の人生相談 お悩みクリニック】年齢を重ねると、体力だけでなく“感情の余裕”も変化
にしたんクリニックなどを展開するエクスコムグローバル株式会社の西村誠司社長があなたの悩みに答えます。
【相談】 通勤電車での出来事についてご相談です。混雑した車内に乗り込もうとした際、ドアが閉まる直前に高校生くらいの男子学生数人のうち誰かに、わざと押し出されそうになりました。危険を感じて踏ん張り、思わず怒鳴ってしまったのですが、相手はニヤニヤしながら「やってない」と主張。その態度にさらに怒りが増幅し、次の駅で降車するまで怒鳴り散らしてしまいました。周囲の視線もあり、後から強い自己嫌悪に襲われています。50年と少しの人生を振り返ると、これまでは同じような場面でも冷静にやり過ごせていた気がします。キレやすい男性高齢者が話題になることもありますが、加齢の影響もあるのでしょうか。それともストレスの蓄積なのか。同じような場面で感情を抑えるために、どう自分と向き合えばよいのか悩んでいます。
【回答】 ご相談ありがとうございます。読んでいて、その場の緊張感と、その後の自己嫌悪の両方がとてもリアルに伝わってきました。まずお伝えしたいのは、その場で強く反応してしまったこと自体を、必要以上に否定しなくていいということです。危険を感じたときに身を守ろうとする反応は、本能的なものでもあります。
ただ一方で、「あそこまで怒鳴る必要はなかったかもしれない」と振り返れている。その冷静さが、今のあなたにはきちんと残っています。そこがとても大事なポイントです。
ご質問の「加齢の影響か、それともストレスか」という点についてですが、どちらも関係している可能性はあります。年齢を重ねると、体力だけでなく“感情の余裕”も少しずつ変化します。そこに日常のストレスが重なると、普段なら流せることに強く反応してしまうことは珍しくありません。いわゆる「キレやすくなる」という現象は、単純に性格の問題ではなく、環境やコンディションの影響も大きいのです。
ただし、ここで大切なのは「年齢のせいだから仕方ない」と片付けないことです。今回のように振り返りができている時点で、十分にコントロールできる余地があります。
同じような場面で感情を抑えるための考え方として、いくつかお伝えします。まず一つは、「危険と不快を分けて考える」ことです。今回のように押し出されそうになるのは確かに危険です。ただ、その後の相手の態度は“危険”ではなく“不快”です。この二つを一緒にしてしまうと怒りが一気に膨らみます。「身の安全は確保した。あとは不快なだけだ」と一度切り分けるだけで、反応は少し変わります。
もう一つは、「その場で勝とうとしない」ことです。相手がニヤニヤしていると、どうしても“正そう”“分からせよう”という気持ちが出てきます。ただ、そういう相手にその場で何かを理解させることは、ほぼできません。むしろエネルギーを消耗するだけです。「この場では関わらないほうが得だ」と判断する力が、結果的に自分を守ります。
そして三つ目は、「一拍置く習慣」を持つことです。難しいようでいて、意識すればできることでもあります。たとえば、何か言い返したくなった瞬間に一度だけ深呼吸をする。あるいは心の中で「一回待て」と言う。それだけでも、反射的な怒りが少しだけ和らぎます。
今回の出来事で感じた自己嫌悪は、「もっとこうできたはず」という意識の裏返しです。それは裏を返せば、あなたがこれまで冷静に振る舞えてきた証でもあります。一度の出来事で「自分は変わってしまった」と決めつける必要はありません。
むしろ今回の経験は、「自分の余裕が少し減っているサイン」と捉えてみてください。少し休む、ストレスを軽くする、生活のリズムを整える。そうした小さな調整が、次の場面での余裕につながります。
人は誰でも、ある瞬間に感情があふれることがあります。大切なのは、その後にどう向き合うかです。あなたはすでに、その一歩を踏み出しています。必要以上に自分を責めず、少しずつ整えていけば大丈夫です。
◇西村 誠司(にしむら・せいじ)1970年生まれ、愛知県出身。「にしたんクリニック」などを展開するエクスコムグローバル株式会社代表取締役社長。名古屋市立大学を卒業後、外資系コンサルティング会社に入社。2年で退職して25歳で起業、現在年商333億円に成長。TikTokフォロワー数7万7000人。
