坂本花織&古江彩佳「二十歳の誓い」 同郷の新成人コンビが同世代対談

 今年成人式を迎えたフィギュアスケート女子の2018年平昌五輪代表、坂本花織(20)=シスメックス/神戸学院大学=と、女子ゴルフでツアー通算4勝を挙げているプラチナ世代、古江彩佳(20)=和田興産契約プロ=が、新成人対談を行った。神戸で生まれ育ち、今も神戸を拠点とする同い年の2人が語る、二十歳の誓いや将来の夢とは。新年らしい華やかな話題をお届けする。

  ◇  ◇

 坂本古江「あけましておめでとうございます」

 -ともに神戸出身で今年成人式を迎える2人だが、古江選手は坂本選手にとても会いたかったと。

 古江「めっちゃうれしいです。違うスポーツで頑張ってるのもあるし、同い年で神戸出身というのもあって、会いたいなと。(坂本は)元気なイメージがあります」

 坂本「笑顔がすてきだなと思いました。競技の動画も見たんですけど、ずっと笑ってるなって」

 -互いの競技の印象は。

 古江「いつも思うのは、目が回らへんのかなと」

 坂本「小さい頃はずっと回ってたけど、始めて2、3年ぐらいたったら慣れます。だから車酔いもほとんどないです。(ゴルフは)ほぼ全部同じ動きじゃないですか。反対でも打てるんですか?」

 古江「練習でやる人もいるけど、私はやらない、というかできない。本当はした方が体にはいいと思うんですけど、できない。反対でやると初心者みたいです」

 -坂本選手は逆回転はできるのか。

 坂本「スピンなら…。ジャンプは絶対できない。(回転数は)シングルが限界です」

 -競技生活の合間の気分転換は。

 坂本「(神戸の)メリケンパークや北野が好きで、考え事をしたくなったら一人で歩きます。最近は時間がないんですが、(成績に苦しんだ)去年(昨季)はめっちゃ歩きました。30分の日も何時間の日もあります」

あゆの物まねで息抜き

 古江「私は、浜崎あゆみさんが好きで、歌うことが息抜きかなと思います。『いくぜ、アリーナ!』とかマネしてるのではたから見たらおかしい人。(車の)助手席でやることが多くて、最近は大人になってきて、恥ずかしいから見えないところで(ジェスチャーを)してます」

 坂本「(爆笑)」

 -坂本選手はアップルームで聞くのは。

 坂本「ほとんどK-POPばっかり。TWICEはずっとあって、今年からITZY(イッジ)ていうグループにはまってて。5人グループなんですけど、踊りがキレキレでめっちゃかっこいい。踊る系なんでYouTubeで振り付けを覚えたら、結構踊っちゃうんですよ。でも自分も恥ずかしいから運転しながら、こっちの手だけ踊って(ジェスチャーで)」

 古江「あるー!」

 -2人とも水泳をやっていた共通点が。

 古江「3歳から中2か中3までやってたので、体幹は自然と強くなったと思います」

 坂本「4歳から中3までやっていました。めっちゃわかります、体幹。腹筋も背筋もいい感じに鍛えられるし、肺活量、肺が鍛えられる気がする。(スケートは)キツいので」

 -ともに回転運動の競技だが。

 古江「軸をもってやらないといけないので、体幹が生きたのかなと思います」

 坂本「(コロナで)自粛の時は滑れなかったから、毎週2回は泳いでいました。中3までやってた時のコーチが一人だけ残っておられるので『泳がしてくださ~い』ってお願いして」

 古江「フィギュアスケートをやっていて大変なことは?」

体形維持が一番大変

 坂本「一番は体形維持。太り過ぎたらジャンプにすごい影響があるから。(重いと)振り回されて、回りやすいと言えば回りやすいけど、こけやすいと言えばこけやすい。めっちゃ変わる」

 古江「食事は?」

 坂本「前は糖質をあまり取らない、白ご飯をあまり食べないというのをやっていたけど、結局シーズン中は我慢できても、シーズンオフに食べると(ぜい肉が)ついちゃうから、あえて普段から食べるようにして、あとは野菜とお肉と魚とかいろいろ食べてます。ご飯を食べないとストレスがかかって余計に食べたくなるから、あえて食べたいと思ったら食べて、ちょっと野菜を多めにしてとかバランスよく食べる」

 -体重によるジャンプへの影響は。

 坂本「500グラムくらいなら、今日はちょっと練習頑張ろうくらいでいけるけど、1キロはデカいです。ジャンプを降りる時の衝撃がドーンと腰に来ます」

 古江「へぇ~!」

 -ゴルフの苦労は。

毎週の車移動が大変

 古江「車での移動が大変かなと思います。毎週で結構遠い移動が多いので。春から秋の終わりまでで(旅から旅で)荷物の替えも大変」

 -すべて母のひとみさんの運転で。

 古江「そうですね。去年は全部車だったので、周りの人より移動は大変だったかもしれない。沖縄と北海道は飛行機ですが、九州は車で。後半戦では千葉から四国に行ってフェリーで宮崎へと。(あえて車で移動するのは)自分の家の車で(浜崎あゆみを)歌わないといけないっていうのも最近学んだので!」

 -新成人になり、競技生活に打ち込んだ青春時代を振り返ると。

 古江「好きなことをやってこられたのはすごいよかったなって思います。しかも仕事にもなって幸せだなと」

遊べへんけど楽しい

 坂本「小学生の時は放課後にみんな遊んでるのに、自分はスケートかと思ってました。でも、跳ぶのが楽しかったので、『今日も跳びにいくぞ』と。遊べへんけど、まあいいかと。高校生ではスポーツクラスだったので『みんな頑張ってるから自分も頑張ろう』とすごい思えたし、ここまで続けさせてくれたのも本当に感謝です」

 -両競技とも自分との戦いがある。

 古江「精神状態を保たないといけないっていうところは難しいかもしれないです。平たんな心でいるのが自分にはプラスかなと」

 坂本「対戦相手がいると、この人はこういう特徴があると考えないといけない。それが何人もなると絶対脳に入りきらないし、そんなこと考えてたら自分の性格上、自分を忘れちゃう。自分の得意としてるものも見失ってできなくなっちゃう」

 -集中するコツは。

 坂本「よかった時の試合を見返します。寝る前に、全日本で優勝した時やこの前のNHK杯も。ジュニアの時は動きがわかりやすいので、中2の頃とか、ジャンプの軸が一番よかった時をiPadで見返します」

 -ゴルフもギャラリーの音などがあり、集中力がいる。

 古江「そんなに神経質にならずにやってるつもりです。(人が)動くのも普通だなと。ちょっとした袋の音とか気になる人とかもいるけど、風でも袋は動くし、赤ちゃんが泣いても全然気にせず打ったりします」

 -自分の動きに周囲の目が集まるが。

 古江「視線を感じるのは慣れました。プロになって初めてのティーショットとかはすごく緊張しましたけど、もともと緊張するタイプじゃなかったので、全然気にならないです。注目してくれた方がうれしい。自分の力にもなるので、ありがたいなと思います」

 坂本「見られるだけで緊張します。ジャッジさんに正面から見られると、こっち見ないで~って。もう無理」

 古江「じゃあ全日本で(フリー『マトリックス』で審判前で大きく)足を上げた時は」

 坂本「あれはテンション爆上げでいかないと」

 -平昌五輪ではとても緊張したと。

 坂本「そうなんです。緊張し過ぎて急性胃腸炎になっちゃった。団体戦のフリーと男子の応援が午前中にあり、夕方に練習があるので練習着を取りに戻ったら、帰りのバスでおなかが痛いなあと。練習の頃には、もう痛い痛い痛いってなっちゃって。どの薬を試しても全然効かなくて、結局(選手村)村外の救急(病院)へ救急車で運ばれるみたいな」

 古江「乗っちゃった?」

 坂本「乗っちゃった。びっくりしました。3日間ぐらい飲み食いができなくて体力がめっちゃ落ちて、大変だった、という話です」

 -その後、シングルに出場して6位に入った。当時はその話をしていなかったが。

 坂本「あえて。今になっては笑い話ですけど。(緊張しない古江が)うらやましい」

 -全米女子オープンでは?

 古江「ちょっとした緊張感が日本と違うくらいは感じていたけど、緊張という緊張はしていないです」

 -東京五輪への思いは。

 古江「チャンスはすごく大きいとは思うけど、それを頭に入れずに一つ一つの試合をクリアしていきたい。結果次第でついてきてくれたらうれしいなと」

 坂本「緊張しないんだったら全然いつもどおりできる。自分は五輪だと考え過ぎちゃったので。そこら中に五輪マークがあってやばいって。それが一番大きかったかな。羽生(結弦)君も(宇野)昌磨君も出ていて、こんなメンツと出ている、どえらいところに来てしまったと」

 -来季は北京五輪シーズンになる。心構えは違うのか。

本気で狙って結果を

 坂本「平昌の時は一番下っ端でジュニア上がりだったので、駆け上がるだけだった。絶対に五輪に出るというより、ちょっとでも選ばれる選手に近づけるように全力を尽くそうと思っただけ。でも、今年はそうじゃない。本気で狙って毎試合毎試合確実に結果を残していくようにしないとなと思う」

 -五輪での結果は。

 坂本「五輪に出たら結果は狙わずに、緊張をほどほどに抑えるくらいに。(コントロールは)だいぶできるようにはなったかな」

 -新成人になって、背中を見せないといけない立場になったが。

人として好かれたい

 古江「目指す選手像としては、ジュニアの子たちに憧れてもらえる、憧れの存在ではありたいなと思っています。結果で見てもらうことが増えると思うけど、結果だけじゃなくて普通の人としても好かれるようにはなりたい。マナーなどスポーツマンとしてもしっかりやっていきたい」

私生活は見ないで-

 坂本「氷の上だとお手本になることもしてるかなと思うけど、私生活は見ないでって感じ。今季の全日本ノービスで(指導を受ける)中野先生に、ノービスの男の子がわざわざ坂本さんの大ファンですと言いに来てくれたと聞いて、下の子からそう言われたのはうれしいし、そう思ってもらえるように頑張ろうと思いました。でも女子じゃないねんなあ」

 -もう二十歳か、まだ二十歳か。

 古江「競技としてはまだ二十歳。やってきた年数は長いなと思うけど、プロとしては始まったばかりなので、まだ二十歳って感じです」

 坂本「もう二十歳です!スケートの引退はだいたい大学卒業と同時になるし、上の方でも20代後半なので、やばい、もう20代やって思います。日本人はいっても28歳くらい。あと何年くらいこの体力がもつかなと思います。体力命!」

 -大人の女性としての人生設計は。

 古江「結婚して子どもを産んで、ゴルフに復帰して勝つというのは女性としてかっこいいなと。それをやってみたいなと思います」

 坂本「限界まで現役をやって、その後はインストラクターになりたいんです。その勉強をしつつ、私生活も充実できたらなと思ってます」

 古江「習いに行こうかな!」

 -指導者の夢は。

 坂本「高校生くらいでちょっとずつ思うようになって、今は完璧に。最近は中野先生から、この子のジャンプどう思う?注意してやってと、教える機会をもらうことがあって、中野先生も(希望を)認識してます」

 -プロでのアイスショー出演は。

 坂本「スポットライトがまぶしい…。競技の方が向いている気がします」

 -競技者としての新成人の目標は。

 坂本「やっぱり来年の五輪が一番の目標で。それに向けては今年末の全日本が大事になる。今季あと2試合あるけどどこまであるかわからないし、来季もどういう状況になるかわからないので、今季みたいに一試合一試合ベストを出せるようにして、選考の選手たちの中から頭一つ抜けられるように頑張っていきたいなと思います」

 -ジャンプは。

 坂本「(トリプル)アクセルも4回転も正直やらないといけないのはわかっているんですけど、アクセルは怖さがあり4回転の方が思い切っていける。今季の自分の演技に、4回転かアクセルができたら結構上の方に食い込めるかなというのがあるので、何とか頑張っていけたらいいなと思います」

お金より勝利に執着

 古江「コロナとかで大変なことはいろいろあると思うけど、ゴルフができるありがたみ、試合をできるありがたみを去年は本当に実感した。ゴルフが自分にとっては生きがいみたいな感じなので、楽しんでいけたらなと思います。賞金女王はジュニアの頃から思ってきた目標でもあり、そこには今一番近いですけど、お金のことはまったく考えてなくて。勝つことが大事で、そこに執着してやっていきたいなと思います」

 -二十歳の誓いを。

 古江「難しいですね。大人になりつつ、自分らしさがそのままであればいいかな」

 坂本「二十歳って大人になった感じがするけど、まだまだ子どもの部分があるので、もっと大人になりたいな、成長したいなっていうのはあります」

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