井上尚弥 6・19ダスマリナス戦へ「何もさせずに勝つだけ」【一問一答】

 ボクシングWBA・IBF統一バンタム級王者の井上尚弥(28)=大橋=が6月19日(日本時間20日)に米国ラスベガスで挑戦者のIBF同級1位マイケル・ダスマリナス(28)=フィリピン=とWBA5度目、IBF3度目の防衛戦を行う。昨年10月のジェーソン・モロニー(豪州)戦に続いて2戦連続で本場へ乗り込む“モンスター”が心境を語った。

 -前戦から約8カ月。試合間隔は気になりますか。

 「ケガで試合ができなかった(14年2月の)オマール・ナルバエス(アルゼンチン)戦後の1年は長く感じたけれど、今回はずっとトレーニングできているので、わりと早いな、という感じですね」

 -WBO同級王者ジョンリール・カシメロ(フィリピン)が盛んに挑発していますが、気になりますか。

 「気にはなるけれど、ダスマリナスとの試合が決まっているので、今はカシメロのことは考えていません。ボクは4団体統一したいのであって、カシメロに興味があるわけでもないので。でも、タイミングが合えば決着をつける時が来ると思うので、その時はパンチを当てさせずにフィニッシュに持っていきたい」

 -今回はモロニー戦と同じラスベガスでの試合ですが、前回は無観客、今回は観客を入れての試合になりそうです。

 「そこがイメージできないんですよね。日本とラスベガスでどんな盛り上がりの違いがあるんだろうって。お客さんの熱によって自分のテンションの上がり方が変わってくるので、そのあたりが未知といえば未知です」

 -初めて世界王座を獲得してから7年がたちましたね。

 「あっという間といえばあっという間だけれど、じゃあこの7年間で何ができたのかと考えると物足りなさが残りますね。特にスーパーフライ級時代は7回防衛したけれど、納得できるような感じがないんです」

 -バンタム級ではイメージ通りですか。

 「いや、イメージしていた以上です。バンタム級での初戦がジェイミー・マクドネル(イギリス)で、次がWBSS(ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ)の初戦でフアン・カルロス・パヤノ(ドミニカ共和国)。エマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)、ノニト・ドネア(フィリピン)、そしてモロニー。スーパーフライ級時代と比べると、すごく充実しています」

 -いまはバンタム級が一番フィットしていますか。

 「そうですね。一番フィットしていると思います。でも少しずつ体重がきつくなってきているのも事実なので、今年、来年と様子を見ながら遠からずスーパーバンタム級に上げる日が来るかも。ただ、無理して階級を上げようとは思いません。(体重が)適正じゃないと意味がないと思っているので」

 -この7年で成長したと感じる部分はどのあたりですか。

 「精神的にもそうですが、自分が試合でやらなくちゃいけない技術であったりメンタルの持っていき方であったり、そういう天が少しずつ成長してきて、それが今の路線で生きているのかなと思います」

 -ダスマリナス戦ですが、王座を返上して別の相手と対戦することは考えなかったのでしょうか。

 「4団体の王座を統一してバンタム級で一番強いということを証明したいので、この試合をクリアして統一戦に臨みます」

 -ダスマリナスの印象を教えて下さい。

 「ひょろひょろと背が高くてリーチがあり、右フックを大きく振ってくる選手ですね。もっと攻撃的でゴリゴリと前に出てくるのかと勝手に思っていたけれど、弟(拓真)とのスパーリングや木村(隼人=ワタナベ)選手との試合の映像を見る限り、意外と足を使ったりして動く選手だなという印象です」

 -つかまえにくいタイプなのでは。

 「来るときは来るので、そういうときにはカウンターが生きると思います。モロニー戦と比べると穴があるので、(どんな選手か)感覚としてはとらえています」

 -IBFでは1位にランクされています。

 「ポイントはそこではなく、今回は次の統一戦に向けたステップの試合という位置づけですね。これをクリアすれば統一戦が組まれると思うので、かなりモチベーションは高いですよ」

 -今回の試合、注意する点は。

 「ダスマリナスはパンチと一緒に頭を出してくるので、そこは注意しないと。パンチは右フックですかね。角度が大きく、外から来るので」

 -サウスポーとはナルバエス、パヤノと2度対戦して早い下位で倒しています。戦いやすいのでしょうか。

 「やりにくくはないですね。アマチュア時代から苦手ではないです。ただ、ナルバエスやパヤノと違って今回の相手は長身のサウスポー。その点が初めてなので戦うのが楽しみですね」

 -これまでプロで20戦(20勝17KO)している中でフィリピンの選手とは4度戦っています(4勝3KO)。何か共通する特徴は感じていますか。

 「4人ですか?デビュー戦と東洋太平洋タイトルを獲得した試合、それとワルリト・パレナス、ドネア、本当だ。でも、4人には同じような特徴は感じませんね。スパーリングパートナーとしてて来てもらっていたフィリピンの選手は、いかにもフィリピンの選手独特という特徴が有ったけれど、そういう選手と試合はしたことがなかったんです。そういう意味ではダスマリナスはフィリピンのボクサー特有の選手かも。パンチの出し方、角度など独特ですから。初めて戦うタイプなので対戦が楽しみですね。KO率も高い(61%)ですよね」

 -どんな戦いをイメージしていますか。

 「ボクが追いかける展開になると思います」

 -早い決着もありそうですね。

 「いや、早くないです(笑)。長丁場も考えています。ともかくアグレッシブな試合をして、自分が納得できる試合をしたいですね」

 -今回、自分に課しているノルマはありますか。

 「判定まで行っちゃダメだなと。でも、そうすると自分でハードルを上げることになっちゃう(笑)。今回は内容が問われる試合だから一方的な内容じゃないと次につながらないので、タイミングが合えば倒したいですね」

 -その先、1年後の自分を想像できますか。

 「タイトルを統一していたい…ですね。12月には3団体、そしてタイミングが合えば来年の4月あたりに4団体統一。それがちょうど1年後ですね」

 -最後に改めて意気込みを。

 「次の統一戦に向けて今回はしっかり結果を出さないといけないと思っています。今は右でも左でもパンチが当たれば倒せる感覚があるので、何もさせずに勝つだけです」

 この一戦は6月20日午前10時30分からWOWOWプライムで生中継する。WBO世界ライト級5位の中谷正義(帝拳)が元3階級制覇王者ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)と米ラスベガスで対戦するライト級12回戦も6月27日午前11時からWOWOWプライムで生中継する。

 また、井上と中谷の姿に迫る「いよいよ明日出陣井上尚弥!井上&中谷!世界へ羽ばたく侍ボクサー!」が6月19日午後0時からWOWOWプライムで無料放送される。

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