尾川堅一が新王者 ダウン3度奪う圧巻の内容で涙のリベンジ MSG世界戦で日本人初勝利

 フジレ(右)を攻める尾川堅一(ゲッティ=共同)
 IBFスーパーフェザー級王座決定戦を制し喜びを爆発させる(帝拳ジム提供)
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 「ボクシング・IBF世界スーパーフェザー級王座決定戦」(27日、ニューヨーク)

 同級3位の尾川堅一(33)=帝拳=が、同級2位アジンガ・フジレ(25)=南アフリカ=に12回判定3-0で勝ち、新王者となった。得意の右を軸に合計3度のダウンを奪った。マジソンスクエアガーデン(MSG)の世界戦で日本人が勝ったのは初めて。

 「聖地」といわれるMSG内のHuluシアターで、尾川の顔が何度もゆがんだ。勝ち名乗りを受けたとき、マイクを向けられたとき、繰り返し涙がこぼれた。

 「4年前にラスベガスで勝ったけど、ああいうことがあって…。ホッとした。この気持ちしかない。いろいろなことがあったが、結果で恩返しするとしか言えなかった」

 17年、同級王座決定戦でファーマー(米国)に判定勝ち。一度はベルトを巻いたが、試合直前の検体から禁止薬物の陽性反応が出た。「思い当たることは何もなかった」というが、主張は認められず無効試合になり、王座獲得の事実も消滅。長男の豹くんはベルト返却を泣いて嫌がった。

 しかし、尾川は腐らなかった。1年間のライセンス停止、復帰後の試合でバッティング流血による引き分けなど思い通りにならない期間もあった中で拳を磨き続けた。二度と同様のことがないように薬剤師と組む態勢も整えた。その末に迎えたのがこの日だった。

 圧巻の内容だった。5回、飛び込むような強烈な右を突き刺し、ダウンを奪取。終盤にフジレは立ち直ったが、攻める姿勢を貫き、最終12回には右カウンター、連打で2度倒して勝利を決定づけた。

 「最終回もセコンドの指示もあって倒しにいった。最終回までプレッシャーを掛け続けられたというのは自分のスタイルの良さだと思う」

 名門・帝拳ジムから初のIBF王者。MSGで日本人初めての世界戦勝利だ。「豹、亜陸(あり)、皇(おう)、やったよ!」。日本で待つ息子たちにカメラを通じて勝利を報告した尾川。日本ボクシング史に名を刻み込んだ。

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