淵上誠氏 村田諒太よ押し込め 日本人で初めてゴロフキンに挑んだ男「期待ある」

 「ボクシング・WBA・IBF世界ミドル級王座統一戦」(4月9日、さいたまスーパーアリーナ)

 日本ボクシング史上最大マッチまで1カ月を切った。日本の至宝・村田諒太(36)=帝拳=の勝機を探るべく、デイリースポーツは最強ゲンナジー・ゴロフキン(39)=カザフスタン=に挑んだ2人の男を直撃した。元WBA世界スーパーウエルター級暫定王者・石田順裕氏(46)と、元日本&東洋太平洋ミドル王者・淵上誠氏(38)。共に完敗を喫したが、両氏だから知っているゴロフキンの強さ、そしてその最強王者に村田が勝てるのかを語ってもらった。

  ◇  ◇

 日本人で初めてゴロフキンに挑んだ淵上氏は12年5月12日、4度目の防衛戦の舞台ウクライナで拳を交えた。圧力をかける相手に足を使って右ジャブを放っていき、「パンチは見えるし、後半になるといけると思った」。だが、1回終了間際のもみ合いで右目上から出血すると2回は連打に捕まる場面が目立ち、右フックでダウン。3回は右ストレートでダウンし、連打を浴びてストップとなった。

 「目に血が入って距離が測れなくなって、どんどんパンチをもらった。鈍器で殴られているようなパンチ。耐えられるとかじゃなくて、脳が揺れて勝手に腰が落ちる感じ」と振り返る攻撃力。それでも出血は「運が悪かった」と思っていたが、そうではなかった。

 「その後ゴロフキンの試合を見たら、ほとんどの相手がそうだった。はじめは劣勢だけど、最終的には相手が出血して見えなくなってトドメを刺す。仕事というか作業のように見える。ボクも運が悪かったんじゃなくて、必然的に切られた」と感じたのだ。

 また、村田が尊敬の念を口にするゴロフキンの優れた人柄には淵上氏も感銘を受けており、「計量が終わった後、頭を下げて両手で握手してくれた。ものすごい余裕で、このチャンピオンはヤバいなと思った」と振り返る。さらに試合後、ゴロフキンも宿泊していたホテルのロビーで寝ずに夫人と話していると、そこにゴロフキンが現れて「いい試合だったよ」と声をかけてきたのだという。

 そこから英語が堪能な夫人を介して語り合い、気がつけば朝。陣営のスタッフもロビーに降りてくると、ゴロフキンは自ら注文して全員にコーヒーを振る舞った。それを見た淵上氏は「この人には勝てない。器が違いすぎる」と痛感した。

 勝敗については「日本人として村田選手を推したいけど、ゴロフキンに分がある」と予想する。では村田が勝つにはどうすればいいのか。「村田選手は外国の選手に負けない体の強さがある。ミドル級で外国人をコーナーに押し込んでボディーを打つなんてありえない。あれができるなら、ゴロフキンとやればどうなるか、という期待はある」と語った。

 ◆淵上 誠(ふちがみ・まこと)1983年7月30日、鹿児島県阿久根市出身。アマチュアから04年に八王子中屋ジムからデビュー。06年にミドル級全日本新人王、09年4月に日本同級王座を獲得し、11年12月にOPBF東洋太平洋同級との2冠王となる。12年5月にWBA世界同級王者ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)に挑戦し、3回TKO負け。16年12月に引退。身長180センチ。左ボクサーファイター。戦績は23勝(14KO)12敗。

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