プロレス大賞MVPはザック・セイバーJr.、史上2人目の外国人「日本プロレス界の一員として認められた」最優秀タッグは満票で斉藤ブラザーズ

 「2024プロレス大賞」(東京スポーツ新聞社制定、デイリースポーツなど選定)の選考会が10日、都内で開かれ、新日本のザック・セイバーJr.(37)が最優秀選手(MVP)賞に選ばれた。外国人のMVPは2002年のボブ・サップ以来、史上2人目の快挙となった。年間最高試合賞(ベストバウト)は新日本の3・20アオーレ長岡大会で行われたNJC決勝、辻陽太(31)-後藤洋央紀(45)戦、最優秀タッグ賞は全日本の斉藤ブラザーズ(斉藤ジュン、斉藤レイ=37)が、同賞では史上初の満票で選ばれた。

 【最優秀選手(MVP)】

 今年のプロレス大賞は特別選考委員のレジェンド・小橋建太氏を含む19人の選考委員が選考にあたった。ザックは卓越した技術と試合内容が評価され、1回目の投票で過半数の10票を獲得し、斉藤ブラザーズ、全日本の安斉勇馬、ノアの清宮海斗を抑えた。

 都内で記者会見に臨んだザックは「本当にうれしい。外国人2人目の受賞は本当に偉業だと思うし、日本プロレス界の一員として認められた思いです。メディアのサポートでここまで来ることができた。14歳の頃から日本でプロレスをやることをずっと夢みていて、ここまで鮮明になるとは感慨深い」と喜んだ。

 MVPは意識してきたといい、51回の歴史の中で外国人2人目という快挙を「本当に偉業だと思う」とかみしめた。最初に知らせた相手は盟友クリス・ブルックス(DDT)だという。「ここ2~3週間『取るんじゃないか』と言われていた。『そんなことないよ』と答えていたけど、彼は正しかった」と明かし、会見後には「母に電話したい」と話した。

 「他に比べるべくもない、キャリア最高の1年」と振り返った通り、年間を通して業界の盟主・新日本をけん引した。

 上半期はTV王座戦線で活躍し、2月にはダニエル・ブライアン(米AEW)との世界最高峰の業師対決を制した。下半期は8月にG1クライマックス初優勝、10月にはIWGP世界ヘビー級王座初戴冠を果たした。

 年明けには海野翔太の挑戦を受けて1・4東京ドーム大会のメインを張る。ザックは「MVPは日本プロレス界のトップに立つ通過点。新日本プロレス全体を一つ上のレベルに引き上げて、次の世代につなげたい」と、トップリーダーとしての責任感をにじませた。

 【女子プロレス大賞】

 フリーのSareee、スターダムの舞華と岩谷麻優、センダイガールズの里村明衣子、フリーのウナギ・サヤカが候補に挙がり、Sareeeが1回目の投票で13票を獲得した。マリーゴールドとシードリングのベルトを持ち、さまざまな団体に上がり、自主興行も開催するなど、幅広い活躍が評価された。

 【年間最高試合賞】

 7試合が候補に挙がり、1回目の投票で8票を得た辻-後藤戦と、4票を得た、全日本の5・29後楽園ホール大会で行われた3冠ヘビー級選手権試合、王者・安斉勇馬-挑戦者・宮原健斗の決選投票になり、11票を獲得した辻-後藤が選ばれた。辻がこの一戦で完全に覚醒し、当時44歳の後藤もさらなる進化を示したと評価された。

 後藤は「この賞を2月に亡くなった父にささげます」、辻は「私たちプロレスラーはそれぞれの思い、主張、夢を背負いながら試合をしています。それは芸術となり希望となり伝わります。そんなたくさんの名勝負が生まれたこの1年で選ばれたことを誇りに思います。あの試合で新時代の扉を開きました。新たな冒険へと歩みを進めましょう。そこにはどんな景色が待っているのか。皆さんが歴史の証人になってくれることをうれしく思います。覚悟はいいか?」とコメントした。

 【最優秀タッグ賞】

 斉藤ブラザーズと、新日本のハウス・オブ・トーチャー、スターダムのH.A.T.E.が候補に挙がり、斉藤ブラザーズがこの賞では史上初の満票で選出された。今年負けなしで、世界タッグ王者としては史上初の世界最強タッグ決定リーグ戦全勝優勝を果たすなどリング上の実績に加え、写真集発売など世間に届いた活躍も評価された。

 【殊勲賞】

 安斉、清宮、新日本のエル・デスペラード、大日本の神谷英慶が候補に挙がり、1回目の投票で8票を獲得した安斉と6票を獲得したデスペラードで決選投票。安斉13票、デスペラード6票で安斉が受賞した。2022年9月デビューながら、史上最年少で3冠ヘビー級王座を獲得し5回防衛。新世代ユニット「エルピーダ」を結成し、アジアタッグ王座を獲得するなど1年を通して活躍した。

 【敢闘賞】

 辻、清宮、岩谷、ドラゴンゲートのドラゴン・ダイヤ、新日本の内藤哲也が候補に挙がり、1回目の投票で8票を得た岩谷と7票を得た清宮で決選投票。清宮10票、岩谷9票で清宮に決した。GHCヘビー級王座をキープし、N-1に優勝するなど年間を通してトップとして活躍した。

 【技能賞】

 デスペラード、ドラゴンゲートのYAMATO、DDTの青木真也、新日本の高橋ヒロムが候補に挙がり、1回目の投票で9票獲得の青木と7票獲得のデスペラードで決選投票。10票の青木が9票のデスペラードを抑えた。MMAではレジェンド的存在で、フルネルソンホールドにみられるようにMMAの技術をプロレスに巧みに応用。プロレス技も端正で、DDTの最高峰KO-D無差別級王座も獲得した。

 【新人賞】

 ノアの佐々木憂流迦、新日本のボルチン・オレッグ、ドラゴンゲートの望月ジュニアが候補に挙がり、1回目の投票で12票を獲得したボルチンに決定。レスリング世界選手権5位という高いアスリート能力を生かした説得力のあるファイトで、NEVER無差別級6人タッグ王座を棚橋弘至、矢野通とキープし、G1クライマックス初出場を果たすなど、昨年4月デビューながら主力として活躍している。

 【話題賞】

 ダンプ松本、ブル中野さん、岩谷麻優

 【レスリング特別表彰】

 パリ五輪で金メダルを獲得した女子の藤波朱理、櫻井つぐみ、元木咲良、鏡優翔、男子の樋口黎、清岡幸太郎、文田健一郎、日下尚

関連ニュース

編集者のオススメ記事

ファイト最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(ファイト)

    写真

    話題の写真ランキング

    リアルタイムランキング

    注目トピックス