16年ぶりのJ1で6位と大躍進の東京V 江尻強化部長「誰しもがびっくりする結果」城福監督は主将・森田への“片思い”吐露
J1東京Vは9日、都内でシーズン総括会見を開き、城福浩監督(63)と江尻篤彦強化部長(57)が16年ぶりにJ1で戦ったシーズンを振り返った。
開幕前に多かった下位予想を覆し、夏場に4連勝を記録するなど勝ち点56の6位でシーズンを終えた。江尻部長は「誰しもがびっくりする結果」と躍進に目を細めると、城福監督も最終節の京都戦後に「胸張れ、6位だぞ!」と、今季初めて選手を褒めたことを明かした。
潤沢な資金力はなく、強力な外国人選手や代表経験が豊富なベテランがいるわけでもない。それでも指揮官が掲げるキーワード「成長」の通り、個々が強い自覚を持って進化。スタメン争いも徐々に激しさを増し、シーズン開幕前と比べ選手層に厚みが増した。それだけに城福監督は「もっと最終節まで、ACLの可能性があるところまでヒリヒリした戦いを彼らにやらせたかった悔しさも正直あります」と語った。
また、城福監督は主将としてチームを引っ張ったMF森田について言及。森田は自分が納得しなければ、指揮官の言葉でさえも簡単に意見を曲げることはなかったという。イエスマンが多かったという昭和の時代を知る指揮官にとって、誰に対しても接する態度を変えない24歳の姿が印象的だった。「すごく好感を持っていました。それは僕の一方的な片思いというか。(森田は)昭和のおっさんだと多分思ってるんですけど」と照れくさそうに思いを口にした。
最終節のロッカールームでは、初めて見る主将の姿があった。恒例となっている試合後の締めのあいさつ。これまでは指名されると「お疲れ様でした」と手拍子で締めるケースがほとんどだった森田が、この日は約20秒間にわたって仲間への感謝を口にした。「多分今までの森田晃樹だったら絶対しゃべんなかったと思います。しっかりみんなに対する感謝と自分の至らないところを侘びていた。あの大人ぶりにはびっくりしましたし…うれしかったですね」と、まるで親のような口調で語っていた。