41年間おしゃれと無縁だった僕がスカートをはく理由「男だって」ある准教授と周囲に起きた変化

特別支援教育でのテクノロジー活用について研究する兵庫教育大学大学院学校教育研究科・准教授、小川修史(ひさし)さんがスカートをはき始めたのは今年のGW明け。「41年間おしゃれと無縁だったおっさん」(本人自称)のアカウント(@ogatti21)には、自身の考え方や周囲の受け止めが変わっていくエピソードが満載です。40歳過ぎて楽しみながらスカートをはいて見えてきた風景とはー

きっかけは一般社団法人日本障がい者ファッション協会・代表の平林景さんとの出会い。「障害があるからおしゃれを諦めた」の声から一念発起。病気や障害を理由におしゃれを諦めずに済む社会を目指して活動しています。現在は、「車いすでパリ・コレクションのランウェイ」の実現を掲げ、「bottom’all(ボトモール)」というユニセックススカートを開発。小川さんは協会の副代表として、平林さんと共にパリコレという夢を追います。

体温調節や着脱のしやすさなど、スカートには障害がある人にはメリットが多くあります。ゼミ生や卒業生の意見にあった巻きスカートのアイデアからボトモールは生まれました。障害がない人でも着たいと思わせるようなファッションを意識しています。一方、「スカートは女性がはくもの」という観念はまだまだ根強く、男性が着こなすには心理的なハードルがあるのも現実です。小川さんや平林さんが目指すのは、こうした価値観を取り払い、男性も女性も楽しめるおしゃれ。もちろん性別だけでなく障害の有無や年齢も問いません。みんな(オール)がはけるボトムスという意味が、ボトモールに込められています。

 「福祉におしゃれは不要とか男性のスカートはおかしいという人もいるでしょう。最初から全員が受け入れるとは難しいかもしれませんが、ボトモールをはいた僕を見て『男性がスカートをはいても良い』『男性のスカートも悪くないね』と思ってくれる人が少しでも増えたら」。それがスカートをはく理由です。

-アカウントの画像がイケてます

「学生と一緒にコーデを考えながら撮ってもらっています。『先生、見る度におしゃれになっていきますよね!』『いつもツイッター見てます』とほめてもらうことが励みです」

-以前はファッションに無頓着だったそうですが

「清潔感だけは意識していましたが、無難で目立たないことが第一でした。購入した福袋の中に入っていたジャケットとパンツをそのまま着用していました。そんなおっさんだったので、初めて大学にスカートをはいて行った日はドキドキでした」

-今では「写真撮ってもいいですか」「どこで売っているんですか」などと話しかけられることも

「(男子)高校生から『制服が本当に辛いので期待してます!頑張ってください!』とメッセージも届きました。今は街を堂々と歩けます。自分のためだけのおしゃれをしていた時代なら、恥ずかしかったかもしれません。でも、『誰かのためのおしゃれ』を意識してからはうれしさが勝っています」

-教育と重ね合わせた投稿をしています

「スカートをはき始めて、『周りの評価なんて気にしなくて良い』ということに気付き、服を着るのが最高に楽しくなりました。周りの視線を気にして楽しめないって、困難さのある子供たちが感じる葛藤と重なるようで、あたらめて支援の必要性を感じています。おしゃれと無縁で店員さんの接客が億劫だった自分が、アパレル関係の方にほめてもらって変わることができました。教育も同じ。少しの自信を生み出す支援って、本当に大切だと思います」

ボトモールはコレクションやPR向けに数着をそろえていますが、「販売してほしい」という声が強く、現在は広島の障害者就労支援事業所で生産して、期間限定で販売することを予定しています。「この活動が障がい者雇用に少しでも繋がれば」と話しています。

(まいどなニュース・竹内 章)

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