忘年会断りたいのに…「今年は家族の用事が」→「家族みんなでおいでよ」だと!? 言い訳ハンター部長が牙をむく
年の瀬が近づき、街は華やかなイルミネーションで輝き始め、オフィスでは「忘年会」の話題が盛り上がる季節です。しかし、楽しみにしている人ばかりではありません。神奈川県在住のAさん(40代)のように、忘年会が近づくたびに胃がキリキリと痛む思いを抱える人もいます。昨年、思いもよらない展開に苦しんだAさんは、今年こそはと断るための秘策を練っています。
■「家族の用事」そんな理由はもう通じない
Aさんは内向的な性格で人付き合いが得意ではありません。お酒も飲まない彼にとって、アルコールが飛び交い、ハイテンションが求められる忘年会は極めてストレスフルな場。仕事としての付き合いは割り切れるものの、オンとオフの境界線が曖昧な忘年会は、彼にとって「耐久戦」のようなものです。
昨年の忘年会前、Aさんは家で趣味のライブ配信の鑑賞を楽しむ時間を諦めきれませんでした。そこでライブ配信を「子どもと一緒に見ることを約束してしまった」「家族みんなで観る予定」と説明。ライブ配信鑑賞という「家族の用事」があることを理由に、忘年会の欠席を試みました。「家族第一」の価値観を重んじる会社だったので、こういった理由も問題なく受け入れられるだろうと考えていたのです。しかし、部長の返答は意外なものでした。
「じゃあ忘年会でそのライブをみんなで観ようか」
突然の提案にAさんは言葉を失いました。何とか「その日は家族みんなで観る予定なので」「家族もみんなで見るのを楽しみにしています」と切り返すと、部長はさらに予想外の追い打ちをかけてきました。
「それなら奥さんや子どもも連れてきていいよ。家族みんなで一緒に見よう」「そうだそうだ!今年は家族同伴の忘年会にしよう」
ただでさえ人付き合いが苦手なAさんにとって、家族ぐるみの忘年会なんて考えたくもありません。
結局、「家族の用事」を別日に調整したことを伝え、やむなく1人で忘年会に参加することに。周囲の盛り上がる声を背に、Aさんは心の中で「来年こそは必ず断る方法を見つける」と固く誓ったのでした。
■「言い訳ハンター」部長、抜け道を見逃さず
忘年会を欠席しようとする社員が多いのか、実は部長は「言い訳ハンター」として社内で有名です。巧妙な言い訳やごまかしも、彼の前では簡単に見破られてしまいます。
昨年、同じ部署の後輩Bさんが「親戚の法事」を理由に欠席を申し出たときも、部長の切り返しは容赦ありませんでした。
「親戚の法事なら仕方ないね。でも、リモートで参加するのはどう? 法事の後に二次会だけでもオンラインで顔を出せるよね?」
さらに、別の後輩Cさんが遠方のコンサートを理由に欠席しようとした際には、部長は「ライブ後にネットでつないで。少し顔を出してよ」と提案。「コンサートの感想も聞きたいし、二次会なら余裕で間に合うよね」とまで言われてしまいました。
■Aさんの秘策、今年はどうなる?
ついに迎えた今年の忘年会シーズン。同僚や後輩の過去の断り事例を集め、Aさんが今年繰り出した秘策は、「遠方での親族の法事」でした。
この理由に説得力を持たせるため、数カ月前から親戚の話をさりげなく部長の前で小出しにしてきました。忘年会の日程が決まったときには、日程が完全にバッティングしていたという展開です。リモート参加を促されても「田舎なので電波が悪く不可能」という設定を持ち出す予定で、部長の鋭い追求をかわす準備も万全です。
果たしてAさんは今年の忘年会は回避できるのでしょうか。忘年会シーズンの攻防を乗り越え、新年を穏やかに迎えられる日を願っています。
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みんな参加したくない忘年会。みなさんはどんな言い訳をして欠席しましたか?
▼40代男性 愛知県
「年末に親族の法事があり」と、絶対に休めないことをいうと「じゃあ忘年会の日程を変更しよう」と言われて困りました。
▼30代女性 静岡県
「最近、持病が悪化して年末は静養するように医師に言われています」と医師の指示を理由にして断りました。健康面に関わる問題は、上司も強くは言いにくいポイントです。ただ会社には元気に来ているので なんとなく、嘘っぽいのがバレてしまいますね。普段の元気な姿が仇になります。
▼30代女性 千葉県
家族のケアを理由にしています。「祖母が高齢で夜は付き添いが必要なため、外出が難しい状況です」と言います。家族の介護は、上司も理解しやすく、深く追及しづらいです。効果的ですが、忘年会が終わったあともその嘘をつかないと辻褄があわなくなるので難しいですね。
▼40代男性 神奈川県
今年は「海外旅行を計画していて、飛行機やホテルの予約もすでに押さえてあるので変更は難しいです」というつもりです。すでに計画が進んでいるので、受け入れてもらうしかないと思っています。ただあまりに早く伝えすぎると忘年会の日程が変更になるし、「毎年、12月の後半は忘年会とわかっているのになんで?」と責められるのでタイミングを図るのが難しいです。
(まいどなニュース特約・松波 穂乃圭)