土地を購入して新築一戸建てを建てる際、「地鎮祭」という神道の儀式で土地の神様をお祀りし、工事の安全や家族の平穏を祈願することは、多くの方がご存じではないでしょうか。

実は、それと似たような儀式として、「家祓い（やばらい）」というお祓いがあります。これは、中古の戸建てやマンションを購入した際に、神職の方を招いて自宅で行うもので、これからの生活の安全や幸せを祈るものです。関東在住のAさん（30代、主婦）は、中古物件購入の際に「家祓い」を経験しました。

■親に「家祓いをしなさい」って言われたけど…？

Aさん夫婦は一人娘の小学校入学を機に、中古の戸建てを購入することになりました。結婚以来住んでいた2DKの賃貸マンションが手狭になり、娘が通っていた幼稚園の友達が進学する小学校区で家を探すことに。

1年間かけて土地やマンション情報を集めましたが、条件に合う物件がなかなか見つからず、ようやく地元の不動産会社から紹介されたのが、前の持ち主が転勤で手放すことになった築10年程度の中古一戸建て。ペットも子どももいない夫婦が住んでいたため内装はきれいで、リフォームの必要もなし。中古物件は当初検討外でしたが、Aさん夫妻は即決しました。

やっと引っ越し先が決まったことは実家にも報告しました。両親からは「入学式前に引っ越しもできそうだし、立地もよくて価格も予算に収まって、大手ハウスメーカーの建てた家なんて、すごくラッキーだったね」と喜ばれた一方で、Aさんも夫も初めて聞く言葉が。

「家祓いはちゃんとしておかないとねえ。日取りもあるし、神主さんの手配もあるから早めに土地神さま調べてご祈祷お願いしないとダメよ」

「ヤバライ……？？」始めはどんな漢字を書くのか、そもそも日本語なのかもわからなかったAさん夫婦に、実家の両親は「中古とはいえ、その家にずっと住むわけだし、何かあってから後悔したって遅いんだから、絶対にやっておきなさい、子どももいるんだから」と強く勧めてきたそうです。

■お祓いをしてもらった後は…

無宗教だと思っていたAさん夫婦ですが、初詣や交通安全祈願などは欠かさない程度の「信心深さ」は持ち合わせていたため、いちおう「家祓い」について調べることに。

「前に住んでいた人の気を祓って、家内安全満願成就を願うお祓いなんだって」

同じ学区内の実家を建て直して二世帯にしたという幼稚園のママ友にも相談してみたところ「地元の神社の神主さんが、地鎮祭や家祓いもしてくれるらしい」と聞き、Aさん夫婦もお願いすることにしました。

神社を訪ねてみると、てきぱきと引き渡し日の六曜をチェックして日時を決め、祭壇とお供えは神社で用意できること、初穂料は当日でよいこと、当日の流れまで丁寧に説明してくれ、すべてお任せできたとのこと。お祓いは約2時間で完了し、初穂料は5万円程度だったそうです。

「出費にはなりましたが、お祓いをしてもらった後はなんとなく『これで安心だね』っていう気持ちになりました。この神社に親しみが湧いて、今後は七五三や初詣もお願いしようと思いました」とAさん。

この家祓い、「何となく運気が悪い」「落ち着かない部屋がある」といった場合にも対応してもらえるそうです。最近増えている「中古物件」を検討中の方、物件が決まったら地元の神社を調べてみてはいかがでしょうか。

（まいどなニュース特約・中瀬 えみ）