「1株5万円」大人気のキオクシア、しかし… 「配当金ゼロ」で株主優待もないのはなぜ?【ファイナンシャルプランナーが解説】
最近の投資ニュースとして大きく話題になったキオクシア株(8月21日終値で54320円)。AI需要を背景に年初来で株価が急騰し、時価総額はトヨタに次ぐ国内3位に浮上したというニュースもありました。
これに伴ってネット上では「キオクシア高すぎ」「買えないよ…」といった声が増えています。通常は一時は100株単位(単元)での取引のため、個人投資家ではなかなか手が出しづらい“値がさ株”となったのがその理由です。ただ、7月に入ってからは急落する場面もあり、値動きの荒さでも注目を集めています。
ただ、この会社は配当金がゼロで株主優待もありません。そのため、株主優待を当たり前と考えている人たちは、「なぜ株価がこれほど高騰しているのに配当も優待もないの?」と疑問を抱いているようです。この疑問について、ファイナンシャルプランナーの橋本ひとみさんに話を聞きました。
■株価の高さと株主還元の豪華さは、別物
ーキオクシア株は、株価がこれほど高いのに配当も優待もないのはなぜですか?
まず押さえておきたいのが、株価の高さと配当や優待の手厚さは、直接は連動しないということです。
株価は、その会社の成長への期待や業績で決まります。一方で配当や優待は、稼いだ利益をどれだけ株主に配るかという会社の方針次第です。この2つは、そもそも決まり方が違うのです。
キオクシアが配当を出していないのは、稼いだ利益をまず設備投資や研究開発に回し、財務の健全性を高めることを優先しているためです。 半導体は巨額の投資が必要な業界で、成長のためにお金を使う段階では、配当より内部にお金を残す判断をする会社は珍しくありません。
ー株価の高さと配当や優待の豪華さは、本当に関係がないのでしょうか?
関係がないわけではありませんが、「株価が高いほど還元も豪華」という関係にはなりません。実際、1株が数百円でも安定して配当を出す会社はありますし、逆に株価が何万円もするのに無配の会社もあります。
そもそも、1株がいくらになるかは、会社が株式をいくつに分けているかでも変わります。
優待についても、実施しているのは上場企業のうち4割ほどにとどまり、株価とは関係なく会社ごとの方針で決まります。
ーキオクシアは今後、配当を出す予定はあるのでしょうか?
その方針は示されています。2026年6月に開いた投資家向けの説明会で、2027年3月期にも配当を始める考えを明らかにしました。減配せずに配当を維持または増やしていく“累進配当”という仕組みを導入する方針で、早ければ今期の下半期に前倒しで始まる可能性にも触れています。
ただし、配当の金額や具体的な開始時期はまだ決まっていません。業績や手元資金の状況を見ながら判断するとしており、方針が示された段階だという点は理解しておく必要があります。株価が大きく動く銘柄でもあるので、還元の話だけでなく、値動きのリスクも含めて見ておくことが大切です。
◆橋本ひとみ(はしもと・ひとみ) ファイナンシャルプランナー
銀行勤務12年を経て、現在は複数企業の経理代行をおこなう。法人営業や富裕層向け資産運用コンサルティングの経験に加え、ファイナンシャル・プランナー、宅地建物取引士の資格を持つ。
(まいどなニュース特約・八幡 康二)
