素粒子物理学の拠点70周年 巨額な新計画、中国台頭も

 【ジュネーブ共同】スイス西部ジュネーブ郊外にある素粒子物理学研究の世界的拠点、欧州合同原子核研究所(CERN)で1日、設立70周年の記念式典が開かれた。CERNでは物に重さを与える素粒子「ヒッグス粒子」が発見され、宇宙の成り立ちの解明に貢献。新設備の建設計画は巨額の投資がネックとなり、台頭する中国と研究の主導権争いも予想される。

 式典でCERNのジャノッティ所長は「才能がある若い研究者らが国境を越えて協力してきた。より良い世界への希望を与えられるよう今後も支援してほしい」と、あいさつ。フォンデアライエン欧州連合(EU)欧州委員長らも出席した。

 1954年9月設立のCERNは物質の最小単位「素粒子」を研究する。施設の目玉である1周27キロの円形をした大型加速器は89年に稼働。光速近くまで加速した陽子同士を正面衝突させる実験で、ヒッグス粒子の存在を2012年に示した。

 CERNは全長91キロの新型円形加速器(FCC)の建設を計画するが、150億スイスフラン(約2兆5千億円)とされる費用が課題。

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